ナイフといえば、中学のころは父親と一緒に自分でナイフを作っていました。左の写真はそのころ作ったナイフの一つです。
まずは銀座の木屋に行って材料を仕入れ、自分で描いた型紙に沿って鋼の板を切り、刃の部分を薄く削って作ります。刃の部分はベルトサンダーで削っても良いのですが、あまり熱を加えると焼入れのときに曲がってしまうので、この一本は全部手やすりで仕上げました。鋼は440Cと呼ばれるもので、錆に強くて一番一般的な材料です。
焼入れは所定の温度に必要な時間だけ保ってから油に漬けて行います。冷やしきってはいけなのですが、冷め切らないうちに引き上げてもいけません。油から出る煙の状態を見て適当に引き上げます。(会社にある電気炉の耐火煉瓦に跡が残ってしまいました)
ヒルト(つか)は真鍮をロウ付けして作り、同じくやすりで仕上げます。黒檀のハンドルを付けて一緒に仕上げます。
最後に全体を磨いて仕上げ、刃を付けます。きちんと研げれば、産毛が剃れるというのは自作の刃物でも一緒です。
シースも牛革を縫って自分で作りました。仕上げに蜜蝋を染み込ませると硬くて丈夫なシースに仕上がります。
この他にもD2(SKD11)で作ったものがあったのですが、ひとにプレゼントして今は手元にありません。父親はATS-34の刃先にステライトという耐摩耗性の高いコバルト系の合金を盛ったりして遊んでいました。
この記事を書きながら、しばらくぶりにまた作ってみようかと思っている今日この頃です。
父親がナイフ好きだったからか、私の手元にも色々なポケットナイフがたまってきました。今日も父の日のプレゼントを買うついでに小さなナイフを3本ほど購入。中央付近にある小さいのがそれらで、アメリカの伝統あるナイフメーカーであるGERBER社のポケットナイフと、おなじみのスイスアーミーナイフ(Victorinox社製)です。
しかし店に行って驚くのは、こういうスポーツナイフと呼ばれるものの最近の値段です。私が高校のころスイスアーミーナイフの一番大きい「チャンプ」なんか15,000円くらいしたと思いますが、今は9,000円くらいで手に入りますし、Buck社の「#110フォールディングハンター」も13,000円くらいだったのが今は6,000円です。
その他、名だたる有名メーカーの製品が昔の半額で手に入ります。為替レートだけの問題とも思えないのですが、とにかく安くなっています。「大人買い」ではないのですが、「憧れのナイフ」をついつい買ってしまうのも止むを得ないでしょう。(笑)
一方、ある種の粗製乱売を感じないわけにも行きません。スタンダードなラインにはそういうことはないと思いますが、新しく出てきた製品たちには、旧来のそのメーカーの製品にあるべき質を保っていないものも見受けられます。上の写真にある青いハンドルのものなどがその良い例です。私の買った個体では、ナイフの基本である刃付けが全くできていませんでした。
どんな刃物でも、普通の鋼材に普通の焼入れを行い、当たり前のレベルの刃付けができていれば産毛が剃れるくらいの切れ味は持っていて当然なのですが、このナイフでは全くダメでした。自分で研ぎなおしたらきっちり剃れましたから、完全に刃の仕上げの問題です。(刃先角度の問題ではなく)
いくらMade in TAIWAN とは言え、これでは「GERBER Legendary Blades」の名が泣きます。商品構成を拡充するためにコンパクトタイプを安価に急造したのでしょうけれど、基本をおろそかにしては本末転倒だと思います。
一方、スイスアーミーナイフの2社VictorinoxとWENGER(合併したようですが)は、やっぱり立派です。出張先のアメリカで買ってもドイツで買っても、はたまた日本の安売り店で買っても昔から品質は常に一定です。もちろん、買ったままで産毛が剃れます。
今でこそLEATHERMANなどのマルチツールポケットナイフが出てきましたが、やはり「ポケットの道具箱」としていつも持ち歩いて使えるのは、いわゆるスイスアーミーナイフだけだと思います。
写真の上のほうに写っている赤ハンドルの2本は、ずっと使い続けてガタが来たもので、一本は大刃がガタつき、一本はツールの一つをこじって飛ばしてしまいました。いつも使える道具であったからこそ、そこまで使えたのだと思います。飛行機に乗るときにもポケットの中に入れっぱなしになっていたのには自分でも驚きましたが。
そんなわけで、明日からポケットに持ち歩くのは銀色のアルミハンドルの付いたスイスアーミーになりそうです。しっかり頼みます。
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徳永幾男: セイコーダイバーズウオッチ進化論 (ワールドムック 1078)
セイコー社が普通に出しているであろう資料を継ぎ接ぎしただけの本。内容に伝説を求めてもパッキンについてもダイバーからの手紙についても同じことを繰り返し書くばかりで何の面白味もない。いかにネタが無いのかを自分で白状している感じ。
技術的な意味での興味からも全く期待はずれ。PTFEの方がガス(He)透過率が低いというデータを載せながら、何故PTFEではない材料を採用したのかの説明もない。(所要最小面圧が理由だろうが)
そして、面白くない一番の理由は他社や他社製品との具体的、定量的な比較がないこと。他製品に対する優位性があってこその「進化」だろうに。件のダイバーの手紙に「どれもこれもダメ」と書いてあったという問題提起の話だけで、実際のHe飽和潜水でセイコー製がその問題を解決したのかどうかの裏付けがない。
著者は実績ある時計専門の機械屋さんのようだから出版に当たって名前だけ使われたのだろうと思わずに居られない。
最近で最も損したと思った本に認定。 (★)
ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)
10年くらい前に買った本書を再読。紹介されているトレーニング種目は多く、運動競技別のメニューも紹介されている。また、反復可能回数を基準にした重量設定の方法も簡単に紹介されているが、「漸進性の原理」にはほんの一言二言触れているだけで、トレーニングが進んだとき、どのようにウェイトの重量を増やせば良いのかについては殆ど記載がない。唯一、「導入段階のトレーニングプログラム例」の中に「最終セットで15回出来るようになったら2.5kg増す」というような記載があるのみ。確かに重量設定の方法を逆読みすれば目的とする効果が得られる反復回数となるように重量を増やして行くべきということは分からなくもないが一般には分かりにくいだろう。明らかに初心者向けの書籍なのに、その点に関するガイドが不足していることに疑問を感じる。厳密に言うと用い方が違うとしても、8×3法なり5×5法なりのような、分かりやすいウェイト重量調整の判断基準が欲しい。ウェイトを増やして行くこと自体が目的にかなり近いことであって、他のことはその手段なのだから、ウェイトの増やし方には章をひとつ割いても良いくらいだと思うので。 (★★)
クリス アセート: 究極の筋肉を造るためのボディビルハンドブック
内容は運動強度と栄養摂取に関する原則に特化しており、個別の運動についての詳細は含まれていないので注意。挿絵以外に図表は含まれない。 (★★)
バートン・マルキール: ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
主張には一貫性があり差し替えられた最新のデータに対しても矛盾がない。最高のリターンを得るためにベストな方法ではなく、普通の人が十分な(とは言えかなり良い)リターンを得られる可能性が高い方法を明確に示している点で個人投資家にとって最良の書ではないだろうか。株式、債券の範囲で投資を始めるなら、まずは歴史に裏打ちされたこの本を読んでからにすべき。投資窓口で投資商品を販売する方々も、この本を読んでから個人投資家に接すれば無駄な問答が無くなるように思う。まあ、そんなことをしたら彼らが自己矛盾に苦しむことになるが。 (★★★★★)
フレデリック ドラヴィエ: 目でみる筋力トレーニングの解剖学―ひと目でわかる強化部位と筋名
主な筋肉については起始と停止位置がその筋肉単独の状態で図解されているが、せっかくなら運動状態の図についても、その運動が主題にする筋肉だけを単独で図示してほしかった。その方が、その筋肉がどのような方向に力を発揮するのか、どのような方向に動作すれば筋肉に効率よく刺激を与えられるのかが分かりやすくなるように思う。筋肉の起始と停止位置が分からない図であれば、なにも表皮を剥いで筋肉を露出させた状態で運動の様子を描く必要がないのでは。 (★)
荒川 裕志: プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典
筋肉が骨格と共に各々単独で図解されており筋肉の骨格への付着(起始,停止)位置が分かりやすい。図を見ればどのような動作が筋肉に刺激を与えるのかが想像できる。同シリーズのトレーニング編にも興味が湧いた。 (★★★★)
世界文化社: Octane日本版 Vol.12 (BIGMANスペシャル)
素敵なグラビアを堪能。 (★★★)
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