冷却水漏れ・インマニエア漏れ修理 ~ E38 750iL
以前に書いたとおり、Vバンクの間にある配管からの冷却水漏れが許容範囲を超え、妻にも「焦げ臭いにおいがする」と言われるようになってしまいました。
しかし、「Vバンクの間にある配管」ということでお分かりのとおり、この配管を交換するにはマニフォールドの脱着が必要です。
このV12のマニフォールド脱着はE32、E38で各1回の経験がありますがハッキリ言って面倒です。出来れば人任せにしたいと思いディーラーに費用を訊きました。すると、マニフォールドの脱着工賃だけで5万円とのこと。もしもディーラーがフランジガスケット(1個約2500ドル×4)を再利用をしないとすると、6千円くらいの配管部品を交換するのに15万円くらいかかることになってしまいます。
あまりにもバカバカしいので、結局は夏休みを利用してDIYすることに。しかし長いはずの夏休みのど真ん中に勤務先での漏水事件が発生して出勤を余儀なくされ、作業に充てることができるのは結局2日だけでした。
したがって予定としては、1日目にマニフォールドの取り外しからフランジガスケットの再シール、冷却水配管の交換、マニフォールドの取り付けまでを終わらせてシール剤の硬化を待ち、2日目に配線配管類の復元を完了するという感じで進めることにします。
なお、マニフォールド周りの作業については1回目の作業のときのほうが細かく書いているので、もしもご興味ある方は下の記事もご覧ください。
アイドリング不調の修理・その他一気に作業(1) ~ E38 750iL
アイドリング不調の修理・その他一気に作業(2) ~ E38 750iL
アイドリング不調の修理・その他一気に作業(3) ~ E38 750iL
アイドリング不調の修理・その他一気に作業(4) ~ E38 750iL
アイドリング不調の修理・その他一気に作業(5) ~ E38 750iL
アイドリング不調の修理・その他一気に作業(6) ~ E38 750iL
さて、作業1日目の朝、私としては早めに起きて作業開始。下側に回り込んだ配線を外す必要があるのでピットのフタを開けて車の下にもぐる用意をしておきます。前回は車をバラしてしまってから気が付いたのでずいぶん時間をロスしました。
マニフォールドを取り外すには、まずマニフォールドの上に置かれた配線ボックスをどけなくればなりません。接続先のコネクターを外し、ボックスから出ている配線をひたすら手繰り寄せます。
前回同様、まず右バンク周りのエアフロ、センサー配線類をどんどん外して行きます。抜け止め金具の付いたコネクターを外すときには、金具紛失防止のため、抜け止め金具をすぐにコネクターに戻しておきます。
右バンク側の配線で車両の下側に回り込んでいるのは2本です。コネクターは上の丸印の箇所。写真下側のコネクターの所には手が入りづらく、ロックを外すのに少々難儀します。
外したアンダーカバーを点検。泥と混じった緑色の液が付着しており、かなりの冷却水が漏れ出しているようです。約1カ月毎に「CHECK COOLANT LEVEL」の表示が出て冷却水を足していたわけですから「さもありなん」という感じ。
左バンク側の配線で下にもぐっているのはオルタネーターに行くこの配線だけだったと思います。フィルターボックスを先に取り外してあればコネクターを抜くのは簡単です。
配線ボックスから出ている配線を全て手繰り寄せ、インジェクターのコネクターも全て引き抜いたら配線を全てボックスの上に集めておきます。
作業の邪魔になるので配線ボックスをボンネットから吊り下げ、左右のスロットルボディーを取り外します。スロットルボディーは両方まとめて左ストラットの後ろ辺りに置いておけば、余計な配管を外さずに済みます。
燃料デリバリーパイプから燃料ホースを取り外して密栓。デリバリーパイプごとごとインジェクターを取り外せば、マニフォールドの取り外しにかかれます。ただしここで前回の作業不良を発見。インジェクターとマニフォールドの間に入っているOリングが少々変形していました。綺麗に入り切っていなかったようです。
マニフォールドの脱着には6.3sqのラチェットと、中にネオジム磁石を入れてナット落下防止対策を施したソケットが必需品。予め用意しましょう。9.5sqの工具では絶対に作業できないので、ここまで来て工具を買いに走るハメになります。一方、工具さえ揃っていれば作業はスムーズに進むはずです。
取り外したマニフォールド。全体的にシール剤の接着はしっかり効いていましたが、部分的に量が足りなかったところ、シールが抜け気味の所がありました。
ここは量も足りず、かなり抜け気味に見えます。
とは言え、初回の作業時と比べればマニフォールドの付け根付近はかなり綺麗でした。完璧ではなかったにせよ、それほど大きな漏れが生じていたということでも無さそうです。
まあ、前回の作業が走行7万2千キロ時、現在の走行が8万7千キロ。いくらフランジガスケット再利用とは言え、1万5千キロ毎にダダ漏れになるようでは修理方法を変えないと。
E32では約10万キロで再シールして、車を手放した12万キロまでは特に異常を感じませんでした。E32の時よりもフランジガスケットの状態が悪いのが気がかりですが、この車についてはぜひ今回の作業が最後になればと思います。何度もやりたい作業ではありませんから。
さて、マニフォールドを外したことで、ようやく本題の冷却水配管(エア抜き配管)に触れるようになりました。配管の丸印の部分に、怪しげな「湯の華」のような堆積物が付着しているのがお分かりになるでしょうか。
エンジン前方から見ると、分岐継ぎ手の部分にも「湯の華」が付いています。
さて、このエア抜き配管は、その一端がエンジンブロックから出ています。写真の丸印部分がブロック側の固定ボルトです。ボルトさえ緩めれば配管は簡単に外れます。
そして…、これまでのマニフォールドの取り外し作業は、実はこのたった1本のボルトを緩めるための作業だったわけです。(泣)
あるBlogで、マニフォールドを外さずにこの配管を交換されたと読める記事を見かけたことがあるのですが、一体どんな超絶スキルをお持ちなのでしょうか。仮に専用のSSTを作ってもウルトラDの難易度であることに変わりは無いと思います。
配管のラジエター側を取り外そうとすると、何とタケノコ部分がパイプの中に折れ込んでしまいました。奥に入ってしまうと大変なので、慌ててドリル刃を入れて折れこんだ部分を引き抜きました。
取り外した配管です。作業の最中に分岐部分が折損。かなり劣化が進んでいたものがギリギリで耐えていたのでしょう。
出先で配管爆裂!自走不能!ということにならずラッキーでした。旅行の最中にそんなことになったら、私でも修理屋ではなく解体屋を呼んでしまうかも知れません。(笑)
配管の交換を終えればあとは復元ですが、時間が厳しくなってきたために作業に没頭した結果、この先の写真がありません。以下、箇条書きで…。(笑)
(1)ブロック上面に溜まった冷却水の水洗い
かなり汚かったので水洗い。綺麗にしてから組み立てると気持ちが良いので。
(2)シール接合面のシール剤除去
取り外したフランジガスケットとマニフォールド、インテークポートの各接合面のシール剤を除去。これがかなり大変で時間を取られました。スクレーパーで掻き落したりブラシで擦ったりシンナーで拭いてみたり。しかし最後に頼りになったのは自分の爪でした。
シール剤がしっかり接着しているという意味で良い事ではあるのですが。
古いシール剤を完全に除去するため、金属面は最後に耐水ペーパーで軽く仕上げ、ガスケットフランジはスチールタワシで接合面を洗いました。
(3)フランジガスケット・マニフォールドの取り付け
接着状態が確認できたので、シール剤は以前と同じ「Three Bond 1211」を使いました。前回の取り付けでは量が不足した部分があったので、今回は接合面の両面にかなり厚めに塗り広げます。マニフォールドの内側にはみ出た分は、インジェクター取り付け穴周辺のみ拭きとりました。ただ、このシール剤はシリコン系なので、エンジンに吸い込まれると多少は触媒への被毒が生じるかも知れません。
(Three Bondの一覧表を見たら、もっと良さそうな番手がありました。もしも次があるなら(泣)、そちらの番手を試してみます。)
ポート内に落としたりしないよう十分注意しながら取り付けナットをセットします。
ここまでで1日目の作業は終了。12時間近くかかってしまいました。ぐっすり眠りながらシール剤の硬化を一昼夜待つことにします。
・・・・
引き続き2日目の作業です。
(4)インジェクターの取り付け
フューエルデリバリーパイプと一体で取り外したインジェクターをマニフォールドに取り付けます。インジェクターとマニフォールドの間のOリングも再利用してしまいます。前回の組み付けでOリングがきちんと入っていなかった箇所があったようなので、今回はマニフォールドとOリングの両方に濃いめのオイル(チェーンルブ)を塗って組み付けました。
マニフォールドの穴にインジェクターが「ズボッ」という感触で入ったので、今度こそ正規の位置に入っているでしょう。
(前回はいまいち「ズボッ」という感覚に乏しかったのです。)
(5)スロットルボディーの取り付け
スロットルボディーとマニフォールドの間の紙ガスケットはシンナーで拭いて薄くシールを塗って再利用してしまいました。交換したければ簡単に出来る個所ですから。
(6)エアフロ・フィルターボックスの取り付けと配管・配線の復旧
配線・配管をひたすら元に戻します。劣化したエアホースは念のため交換。
・・・・
2日目夕方5時ころ作業終了。
あとはドキドキのエンジン始動です。
「キュイッ、ボーン」
やけに短いクランキングで始動。まあやれやれです。
取り敢えず冷却水の漏れはないようですし、細かい調子のチェックは明日以降にして今日は作業終了!
これで明日は会社に行けます。(笑)
さてこの作業中、自分の実家に行っていた妻が帰って来て何やら憤慨した様子。
曰く、
「ねえ、今度(妻の両親に)自分で好きでいじってるって言って来て。」
とのこと。
私が車にかかりっきりになっていることをについて実家で
「お前がお金(修理代)を出してやらないからだ。」
と言われたのだそうです。(笑)
う~ん、確かにお金が無いことは事実ですが…仮にいくらお金があっても自分で出来そうだと思った作業は自分でやると思うんですよね。
ときどきウンザリするけれど、やっぱり楽しい…のかなあ。自分でも分かりません。
とはいえ誤解はいけません。今度実家に行ったら「好きでいじってる」と言いましょう。
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コメント
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いつもながら、整備の手腕に感心しながら拝見しましたが、奥様のご機嫌のメンテナンスも大切ですね(笑)。お疲れ様です。
投稿: age | 2011年9月 3日 (土) 20時34分
ageさんコメントありがとうございます。
ご機嫌メンテナンスは…苦手です。
この後、ご機嫌に悪影響を与える事件が発生したのでした。(泣)
投稿: otto | 2011年9月 3日 (土) 21時19分