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2011年5月23日 (月)

「安全設計」の審査指針がうわさどおりダメダメな件

発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針
平成2年8月30日原子力安全委員会決定
一部改訂 平成13年3月29日 原子力安全委員会

指針27.電源喪失に対する設計上の考慮

長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない
非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくことなど)により、十分高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい

いまさらですが、報道で聞いていた「交流電源喪失」に関する審査指針の件、原文を読んだら、まさに報道されていたとおりで驚きました。自分の会社でこの指針案が回ってきたら私は絶対にハンコを押しません。

この指針を作成した人は一体何を考えていたのでしょう。工事現場といものを見たことがない人が書いているとしか思えません。

「送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待できる」

と書いているからには送電線や非常用電源が被害を受けることを想定しているわけですが、あのような大型の設備がそれほど簡単に修復できるはずがないと思うのですが。

それとも、送電関係の設備は発電所よりも高い基準で作られていて壊れることはなく、万が一の際にも修復は容易だとでも言うのでしょうか。

 

安全設計審査指針では「Ⅱ.本指針の位置付けと適用範囲」の項に

「本指針は、軽水炉施設を対象としているが、その他の原子炉施設の安全審査においても参考となり得ると考える。」

と書いています。

少なくとも電源の確保については絶対に他の施設で参考にすべきではありません。

 

ただ、良いことも書いているようです。

指針2.自然現象に対する設計上の考慮

1. 安全機能を有する構築物、系統及び機器は、その安全機能の重要度及び地震によって機能の喪失を起こした場合の安全上の影響を考慮して、耐震設計上の区分がなされるとともに、適切と考えられる設計用地震力に十分耐えられる設計であること。

2. 安全機能を有する構築物、系統及び機器は、地震以外の想定される自然現象によって原子炉施設の安全性が損なわれない設計であること。重要度の特に高い安全機能を有する構築物、系統及び機器は、予想される自然現象のうち最も苛酷と考えられる条件、又は自然力に事故荷重を適切に組み合わせた場合を考慮した設計であること

「予想される自然現象のうち最も過酷と考えられる条件」と「事故荷重」を組み合わせて設計しろとあります。

「最も過酷な条件」とは、言うまでもなく「地域に依らず今までに地球上で発生した最も過酷な自然現象」のことを意味しているのでしょう。

間違っても、当たりもしない地震予知や当てにならない地盤・断層評価などによって、コストも安全性も「都合よく限定するための過酷さ」であってはならないはずです。

設計基準の見直しでは、また当てにならない占い(地震規模・時期の予知や地盤評価)を使おうとしているような噂も聞きますので少々心配です。

まさかそういうことはないと思いますが、

福島原発:津波が来る前に放射能漏れの可能性-地震で既に打撃か(1)(Blomberg)」

という話を聞くにつけ、耐震基準のいい加減さに不安が募ります。

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