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2010年7月13日 (火)

タイヤ~全部が丸いとは限らない②

タイヤを組む際、普通はRFVの赤マークをホイールのマークに合わせ、それが出来なければ軽点マークをバルブに合わせて組み、バランスをとりますよね。

バランサーの多くがほとんど定期的な較正を受けていないということは置いておいて、それでタイヤの振動が出たというと、普通は

「ホイールバランスが狂ってるんでしょう。」

「バランスを取り直しましょう。」

となります。

しかしこの対応、どうも疑問が残ります。

そもそも何故最初の一回できちんとバランスが取れなかったのか、という問題について何も考えて対処していません。

正しい機械で正しい作業を行えばバランスはきちんと取れているはずなのですから、「バランスを取りなおす」という作業に結びつくはずがありません。

もしもバランスを取りなおして症状が改善するなら、初回の作業には何か問題があったか、今回はたまたま「うまく当たった」ということなのでしょうか。

そして、振動への対応としての再バランスで、位相ずらしを行ってバランサーがゼロゼロ指示になったのに問題が解決しないとみんなで腕を組んで

「う~ん」

となり、下手をすると

「古い車ですし、車両側の問題が…」

なんて言い出されることが多いのもまた事実。

仮に

「目の前でバランサーにかけたタイヤのトレッド面が派手に上下動していても」

「タイヤ交換前までは何の問題も無かったとしても」

です。

タイヤ由来の振動の調整方法としてオンザカーバランスだとかホイールとタイヤの位相ずらし等、色々テクニックはあると思いますし、そういう作業を売りにしているお店やバランサーがあるのも知っています。(※)

それぞれの方法で正確に作業すれば、それらに対応した一定の内容についてはそれなりの調整が出来るでしょう。

また、いわゆるウェイトバランスは、打ち込みタイプのウェイトであればどのような状態でも理論上は必ず調整することができるはずです。

しかし、どんな職人が技術を駆使したとしても完全には調整しようのないことがあると思います。

それは、

「タイヤの丸さ」

です。

仮に正確なバランサーでバランスをとったとしても、それはあくまで質量的なダイナミックバランスを整えたに過ぎません。

極端な話、三角形や五角形のタイヤでもダイナミックバランサーの指示値を「ゼロゼロ」にすることはできるわけです。

ただ、そんなタイヤで走ったらどうなるのか、考えてみれば明らかです。

タイヤ上下方向の力が常に変化を続けるために大きな振動が発生し、たぶん、肩のコリが完全にほぐれ、背骨がガタガタに緩むことでしょう。

もちろん、乗用車用タイヤのあるべき姿ではありませんよね。(笑)

 

タイヤの上下方向の支持力の不均一性を表すのはRFV(Radial Force Variation)です。このRFVはダイナミックバランサーのウェイトでは調整のしようがありません。

トレッド面にローラーを押し付けてタイヤを回転させることでRFVを測定し、ホイールとの位相合わせ等、何らかの調整アドバイスの出るバランサーもあるそうですが、ホイールに不均一がある場合にタイヤとの相殺を狙うものであり、ホイールに狂いが無い場合には無力でしょう。

 

なので、少なくとも私が乗っている車のメーカーでは、RFVの限度を規定する代わりに、タイヤの寸法的な均一性を規定しています。トレッド面の上下方向の振れ幅RR(Radial Runout)の規定です。(横方向はLateral Runout)

いくらバランサーでダイナミックバランスがとれていても、中心からトレッド面までの距離の変化が大きいタイヤは不合格なのです。三角形や五角形のタイヤでスムーズに走れるわけがないのですから当たり前の話です。

そしてその基準は、

「一体型軽合金ホイールにタイヤを組み付けた状態で1.1mm」

だそうです。

TISにもきちんと載っています。

 

RRの限度を確認したのは今回が初めてですが、この数字については

「ああそのくらいですよね。」

というのが私の感想。

以前、Z32の振動で悩んだときにJUNオートメカニックにバランス調整を依頼した時に言われたことを思い出しました。

「(超高速でも振動が出ないのは)振れても1mmが限度だろうね。」

と。

 

バランサーにかけられ、ヨワヨワ上下していたトレッド、私のタイヤ。

 

あの激しい動き。

何メーターか離れていても見えたトレッドのうねり。

ビクン ビクンと4本が4本とも熱く激しく踊るあのトレッド…。

 

アフターマーケットで流通するタイヤ。

このどす黒いもの。

 

(続く)

 

(※) 軽点とバルブ位置を合わせ、ウェイトを少なくするということ自体にはユーザーにとってあまり意味が無いように思います。お店にとってはウェイトのコスト云々という意味はないことはないと思いますが微々たるものでしょう。

ホイールとタイヤのバランスを別々にとってウェイトを相殺するように組むというのも同類ではないでしょうか。なにしろウェイトバランス自体は、常識的な範囲であればどんなウェイトの付け方をしても正しく調整できるはずですから。

一方、ダイヤルゲージでホイールのランアウトを測定して、タイヤと組み合わせた場合のRFVないしランアウトが最小になるように組むというのは確実に振動の軽減に役立つはずです。

重量的なダイナミックバランスはウェイトでいくらでも調整できますが、形状的な調整は位相調整以外ではできないわけで、軽点合わせよりもこちらを優先すべきだと考えています。

ただ、この調整に意味があるのは、「ホイールにそれなりのランアウトがある場合」だけです。

真円のホイールに歪んだタイヤをはめた場合は、どうずらしても歪み量は一定なのですから。

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