マウント類,酸素濃度センサー,LADアキュームレーターの交換(2)~E32 750iL
作業の続きです。フロントパイプを外したついでATマウントの交換を終わらせました。
この車の場合、エンジンとATは一体となって4個のブッシュに支えられています。前のエンジンマウント2個と、後ろのATマウント2個です。
エンジン重量の大半を支えるのはエンジンマウントですが、今回は出来る限り新車の状態に近付けたいので、ATマウントも交換することにしました。
交換は簡単でした。マウントの固定ネジを緩めてからAT後端のアルミハウジング部分にジャッキをかければマウントを抜き取ることができます。ジャッキがATに当たるところには厚いゴム板を当てています。
送られてきたATマウントはLemforder製でした。
純正部品と全く同じOEM部品のようで、旧品でBMWの表示がある部分が削り取られています。
旧品と新品の比較です。新品が糸巻き形であるのに対して、旧品は長年の荷重による変形のため寸胴になってしまっていました。面間で10mm近く潰れています。潰れることによって断面積は大きくなり、高さは小さくなるので、ブッシュのバネ定数はだいぶ上がっていたでしょう。
新しいブッシュを仮置きしたところです。
ブッシュの上面には突起があり、AT側の溝と勘合することによって回り止めになっています。新品ブッシュは高さがあるため、クロスメンバーを下げないと所定位置に収めることができませんでした。
各取り付けナットを締めつけて交換完了です。
これでプロペラシャフトのセット位置が少し上がり、設計寸法に近づいたはず。もしもプロペラシャフトジョイントに起因する振動(角速度変動)が出ていたのなら改善がみられるでしょう。
中低速からふわっとトルクをかけたときに「フルフルフルッ」と感じる微かな震動は、このあたりから出ているような気がします。
ちなみにセルシオは源流対策の名の下に、ATからデフまでを完全に直線で結び、このジョイントに起因する振動を原理的に無くしたそうです。
エンジンマウント交換の前に、センターパイプを取り付けてしまいます。焼き付き防止のため、ネジには二硫化モリブデン入りのグリースを塗っておきました。本当は二硫化モリブデン系の乾燥皮膜を作るスプレータイプの潤滑剤がお勧めです。
次はエンジンマウントの交換です。とは言っても私、この部分をいじるのは初めて。一番の問題はエンジンの持ち上げ方です。
エンジンクレーンの用意はありませんから、下から支えるしかありません。色々と考えながらも、結局、オイルパンに厚い新聞紙と鉄板(t4.5のチェッカープレート)を当ててジャッキで持ち上げるという、何とも工夫のない方法を取ることにしました。
エンジンを徐々に持ち上げながら、周りで何かが引っ張られたり当たったりしていないかどうか確認。クーラントのリザーバータンクとインジェクターの上の樹脂カバーが干渉するのでこれらを取り外しました。
ところで、うちのガレージで車体フレーム部分にウマをかけようとすると、上の写真のようにウマがピットの上に来てしまいます。エンジンを持ち上げるジャッキも、別のフタの上に乗せるしかありません。
ピットの中からできるだけ広い範囲を触れるようにとピットの幅を車輪の内側寸法いっぱいまで広げたわけですが、一長一短という感じです。というよりも、実はジャッキアップとウマかけのことを考えていなかったのです。(笑)
これからピットを計画される方は、このあたりについても十分に寸法をご確認ください。作ってしまってから「使えない!」ということにならないように。
【関連記事】 ピットのカバー、たわみ計算、寸法合わせ、ピットカバー製作中、ピットカバー完成
話は戻って作業です。アンダーカバーを外せば、右側のマウントにアプローチするのは簡単でした。これは既に新しいマウントを入れたところです。
作業中の写真がないのは、オイルパンが潰れはしないかとヒヤヒヤしながら作業していて写真を撮る余裕がなかったからです。
解体屋でのバイトで、エンジンを地面に直置きしてもオイルパンはそう簡単に潰れないと知っていても、やはり自分の車だと心配になるのです。(笑)
左側です。こちらは周りの配管をどけないとエンジンマウントを取り出せませんでした。万一エンジンが落ちてきても指を潰さないような持ち方でマウントを入れるのには少々難儀しました。
取り外した旧マウントと新しいマウントです。ATマウントと同じく、こちらもほぼ10mm縮んでいました。
たけさんのHPにアップしていただいた断面写真と比べてみると、おそらくオイルチャンバーが潰れて、エア室との間にあるオリフィスプレートに接触してしまっています。これではサスペンションが底付きしているようなもので、当然、マウントのダンパー機能は失われていたでしょう。
車内で時々感じたやけに強いブルつきは、きっとこの底付きのせいだったのではないかと思います。
取り付けナットを締めてアンダーカバーを取り付け作業を完了。エンジンが重いだけで、特に難しいことはありませんでした。LADアキュームレーターの交換は、また記事を改めます。
それにしてもエンジン、AT回りのオイル滲みが増えています。
配管類については工業用ホース屋さんでホース部分だけを取り換えてもらえば済みますが、クランクシャフトのオイルシールやAT周りのシールだと脱着が面倒です。ATだけにしても一人では脱着出来ないでしょうし。
とりあえずはホース類を直して漏れ箇所を特定することにします。
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コメント
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それにしても綺麗な下周りですねー
オイル滲みがあると言ってますが、今まで数十台に及ぶ750車両の下回りを診てますがこれ程綺麗な車両は見た事がありません。 多くはディーラー等でも整備をされているのですが2代目3代目のオーナーに移るにつれて酷くなりますね。
エンジンマウントやミッションマウントの劣化は振動等以外にもこの車両の場合はドライブシャフトの干渉音で検知する事ができます。 劣化してドライブシャフトが下がると直ぐ下の遮熱板に触れて「カッカッカッ」と音が出るようになります、この場合、マウントかドライブシャフトのセンターサポートベアリングの破損かどちらという事になります。
ATのフロントやリアのシャフトシールからの漏れに関してはリア側は載せたままでも出来なくはありませんがフロントは降ろさないと無理です。 AT自体はミッションジャッキがあれば一人でも降ろせますが載せるときは2人居ないと経験上絶対に無理です、恐ろしくシビアなクリアランスでドライバーでこじりながら位置調整が必要等鬼門が数多くあります。 先週も1台降ろしてシール交換をしましたが慣れても1日掛かりですね。
投稿: たけ | 2009年2月27日 (金) 22時19分
たけさん、コメントありがとうございます。
おかげさまで作業はひととおり完了しました。追々記事にしようと思います。
油滲み、比較的軽症に見えるのは写真だからだと思いますよ。実物はけっこうなものなんです。一生懸命拭いていますが。もしかしたら、通勤の高速道で漏れたそばから吹き飛んでいるのかも知れません。(笑)
マウント交換後もアイドリングの振動はそれほど変わらずで、インマニメンテほどのインパクトはありませんでした。逆に言うと、インマニをメンテせずにマウントだけ換えても効果は薄いということですね。ただ、加速中の滑らか感と、ライドは明らかに変わりました。おっしゃっていた通りです。
ATのシール、後ろはなんとかなるんですね。駐車スペースに油が垂れるようになったらチャレンジしてみようと思います。
コメントいただきながらご返事遅くなり恐縮ですが、今のところそんな状況です。
投稿: otto | 2009年3月 9日 (月) 12時31分
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。
フライホイールのカバー?の穴?のあたりからオイルがポトポト漏れており、どうしたものかなー・・・お思っていたところ、またもや貴殿のHPに遭遇しました(笑
シャフトシール?から漏れて、フライホイールの穴かあ漏れているのかな??と想像しているんですが・・
どう思われますでしょうか?
車庫の床にオイル跡があると、これまた気になって仕方ないわけです。。
投稿: けん 札幌 | 2013年1月 7日 (月) 17時07分
けん 札幌さん、明けましておめでとうございます。
年越しオイル漏れ(?)とのこと、困りますね。フライホイールのカバーと言うと、ATのベルハウジングの部分でしょうか。そこの下の穴から漏れているとなると、お考えのとおりクランクシャフト後端のオイルシールからの漏れの可能性が高いように思いますが、私のE32では、PSの油圧配管の見えにくい場所からの漏れが回ってそのように見えていたことがありました。一度点検されてはと思います。
また、最近、身近にある某車の(かなり酷い)オイル下がりが、日産ディーラーで入れたオイル漏れ止めケミカル(シールを膨潤させるタイプ)で大幅に改善したようです。全体に悪影響を与える可能性もあるので少々怖いのですが、この話を聞いて次に何か起きたときには私も試してみようと思いました・・・。
以上、ご参考いただければ幸いです。
今年もよろしくお願いいたします。
投稿: otto | 2013年1月 8日 (火) 22時57分
こんにちは!
やはりその可能性大ですか・・・
昨年、チェーンカバーを交換してこれで大丈夫!と思った矢先に・・またポタポタの状況ですので困ったものです。
最初は、チェーンカバーからの漏れの残油かな・・・、そうであってくれ!と思っていたのですが・・・
ただ見えにくいところからの可能性もあるのですね!
やはり、LEDのUSBスコープ?買わなきゃだめかもしれません!
ウマかけて覗くのはつらいです!
投稿: けん | 2013年1月10日 (木) 14時40分
おはようございます
札幌は大雪です!
さて
クランクシャフト後端のオイルシールは、自分で治せまでしょうか??
チェーンカバーどころではないように思うのです?!
TISでまだ勉強もしていないのですが・・
いかがでしょう。。
投稿: けん | 2013年1月18日 (金) 08時39分
けんさんこんにちは。
先週は東京も雪でした。たった数センチの雪で大騒ぎです。
自力でのオイルシールの交換は…難しいかも知れません。作業自体は兎も角として、まずATを下さなければならないでしょうから、これがタイヘンです。110kgくらいあったように思います。http://www.zf.com/na/content/media/united_states/corporate_replacement_parts_1/service_portfolio/passenger_cars/5HP30.pdf
以前、HR30のMT、5MソアラのATは2人で行けましたが…。お力になれず恐縮です。
投稿: otto | 2013年1月21日 (月) 12時50分