構造が分からないとき~特許庁ホームページ
ここのところで何度もブレーキ関係の記事を書いていますが、自動車好きを自認しながら、実は自分がブースターの構造をよく理解していないことに気がつきました。(ブースターに限りませんが)
これではいけないと思い、一般向けの本(図解クルマのメカニズム ナツメ社)を買って眺めてはみたものの、正直言って私の知りたいことにはまったく触れられていません。断面図を使ったブースターの動作説明はありましたが、紙面の都合かどうか各バルブ類がどのように動作するのかという細かいシーケンスに関する説明は全くなしです。これではブースターとブレーキタッチの関係について考えることが出来ません。
これは困ったぞ、ということでWEB上の情報を検索したら、特許庁ホームページにある『標準技術集』に、一般書から若干進んだ内容の解説がありました。「制動倍力装置(ブレーキブースター)概要」です。(冒頭は特許庁のTOPページ)
ただ、これでも実際の部品の細かい動作までは分かりません。ブレーキタッチやレスポンスの差がどこから出てくるのかを理解するにはどうしても部品個々の構造と動を理解する必要があります。
そんなとき役に立ったのは・・・
同じく特許庁の特許出願閲覧サービスです。
特許の出願書類を書いたことのある方はご存知のとおり、出願書類というのは、基本的にその技術に関して素人である特許庁の審査官に、誤解なく自らの発明を説明できるように書いてあります。
また、発明の新規性や有効性を印象付けるため、『従来の技術』『解決すべき課題』等の項目にその関係技術についての説明も加えてありますから、『特許出願』という難しそうなイメージとは裏腹に、実は至れり尽くせりの説明がなされているのです。これは、発明を公開する代わりに権利を保護するために必要なことです。
特に、分解して中身を見れば構造を真似できてしまう機械技術の場合には、確実に権利を主張するために発明の根幹が嘘偽りなく仔細に説明されていますから、素人が見てもその内容を理解しやすいのです。
ただし出願の『請求項』の中では、一つの発明の内容を一文で表すというルールがあるため、どんなに複雑な機構も『請求項』の中では一つの文章で説明されています。
そのため請求項では、
『自動車の制動装置の倍力装置のうち、負圧を動作圧力源とするAにおいて、Bに接するするCを勘合するDの中にEを摺動する弁Fを設け、直列にGを具備したHとIとを**するとともに、Jと同軸の・・・ Kが&に接し・・・、LするMするNを設け・・・、OがPである自動車用ブレーキの倍力装置』(全800文字?)
というように、非常に分かりづらい表現になっています。しかし、ここだけを見て構造を理解するのを諦めてはいけません。我々が見るべきなのは、『発明の詳細の説明』、『実施例』、等です。ここには分かりやすい『至れり尽くせり』の説明があるのです。
記事が長くなるので項を改めますが、『ブレーキ倍力装置』、『ブレーキアシスト』等のキーワードで多くの特許出願を読むことができました。おかげさまで、既に公知の基本技術となっている『ブレーキ倍力装置』については、ブレーキアシストとの関係で、その構造と特性とを、ほぼ理解できたと思います。
『自分の言葉で説明できてこそ理解した証拠』だとは私も思いますので、せっかくですからこれからの記事でブースターの動作原理、構造の詳細と、ブレーキフィーリングへの影響について書いてみようと思います。
チェンジニアー(Changeneer)・フィーリニアー(Feelineer)からの脱出を図ります。(笑)
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コメント
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一口にブースターと言っても各メーカーによって微妙に構造設計が異なります。 ottoさんが一番欲しいのはE32-750に搭載されたATEのシステム概要だと思いますが、それなら以前SNSのE31トピックに当システムの詳細な作動構造をアップしてあります、ブログやHP等のオープン環境には各種資料をアップしない方針なので必要ならそちらをご覧下さい。
投稿: たけ | 2008年3月 3日 (月) 21時04分
たけさん、貴重な情報をありがとうございます。さっそくチェックさせていただきます!
本国のサイトも覗いてみましたが、Deutscheはちょっと無理です。第二外国語で使ったはずの辞書を見つけることすら出来ませんでした!(笑)
投稿: otto | 2008年3月 6日 (木) 23時00分