« エアコンの効率~大きいの1台?小さいの2台? | トップページ | 油は醤油色~デフオイルの交換 »

2008年3月 3日 (月)

構造が分からないとき~特許庁ホームページ

Patentoffice

ここのところで何度もブレーキ関係の記事を書いていますが、自動車好きを自認しながら、実は自分がブースターの構造をよく理解していないことに気がつきました。(ブースターに限りませんが)

これではいけないと思い、一般向けの本(図解クルマのメカニズム ナツメ社)を買って眺めてはみたものの、正直言って私の知りたいことにはまったく触れられていません。断面図を使ったブースターの動作説明はありましたが、紙面の都合かどうか各バルブ類がどのように動作するのかという細かいシーケンスに関する説明は全くなしです。これではブースターとブレーキタッチの関係について考えることが出来ません。

これは困ったぞ、ということでWEB上の情報を検索したら、特許庁ホームページにある『標準技術集』に、一般書から若干進んだ内容の解説がありました。「制動倍力装置(ブレーキブースター)概要」です。(冒頭は特許庁のTOPページ)

ただ、これでも実際の部品の細かい動作までは分かりません。ブレーキタッチやレスポンスの差がどこから出てくるのかを理解するにはどうしても部品個々の構造と動を理解する必要があります。

そんなとき役に立ったのは・・・

同じく特許庁の特許出願閲覧サービスです。

特許の出願書類を書いたことのある方はご存知のとおり、出願書類というのは、基本的にその技術に関して素人である特許庁の審査官に、誤解なく自らの発明を説明できるように書いてあります。

また、発明の新規性や有効性を印象付けるため、『従来の技術』『解決すべき課題』等の項目にその関係技術についての説明も加えてありますから、『特許出願』という難しそうなイメージとは裏腹に、実は至れり尽くせりの説明がなされているのです。これは、発明を公開する代わりに権利を保護するために必要なことです。

特に、分解して中身を見れば構造を真似できてしまう機械技術の場合には、確実に権利を主張するために発明の根幹が嘘偽りなく仔細に説明されていますから、素人が見てもその内容を理解しやすいのです。

ただし出願の『請求項』の中では、一つの発明の内容を一文で表すというルールがあるため、どんなに複雑な機構も『請求項』の中では一つの文章で説明されています。

そのため請求項では、

『自動車の制動装置の倍力装置のうち、負圧を動作圧力源とするAにおいて、Bに接するするCを勘合するDの中にEを摺動する弁Fを設け、直列にGを具備したHとIとを**するとともに、Jと同軸の・・・ Kが&に接し・・・、LするMするNを設け・・・、OがPである自動車用ブレーキの倍力装置』(全800文字?)

というように、非常に分かりづらい表現になっています。しかし、ここだけを見て構造を理解するのを諦めてはいけません。我々が見るべきなのは、『発明の詳細の説明』、『実施例』、等です。ここには分かりやすい『至れり尽くせり』の説明があるのです。

記事が長くなるので項を改めますが、『ブレーキ倍力装置』、『ブレーキアシスト』等のキーワードで多くの特許出願を読むことができました。おかげさまで、既に公知の基本技術となっている『ブレーキ倍力装置』については、ブレーキアシストとの関係で、その構造と特性とを、ほぼ理解できたと思います。

『自分の言葉で説明できてこそ理解した証拠』だとは私も思いますので、せっかくですからこれからの記事でブースターの動作原理、構造の詳細と、ブレーキフィーリングへの影響について書いてみようと思います。

チェンジニアー(Changeneer)・フィーリニアー(Feelineer)からの脱出を図ります。(笑)

« エアコンの効率~大きいの1台?小さいの2台? | トップページ | 油は醤油色~デフオイルの交換 »

」カテゴリの記事

コメント

一口にブースターと言っても各メーカーによって微妙に構造設計が異なります。 ottoさんが一番欲しいのはE32-750に搭載されたATEのシステム概要だと思いますが、それなら以前SNSのE31トピックに当システムの詳細な作動構造をアップしてあります、ブログやHP等のオープン環境には各種資料をアップしない方針なので必要ならそちらをご覧下さい。

たけさん、貴重な情報をありがとうございます。さっそくチェックさせていただきます!
本国のサイトも覗いてみましたが、Deutscheはちょっと無理です。第二外国語で使ったはずの辞書を見つけることすら出来ませんでした!(笑)

この記事へのコメントは終了しました。

« エアコンの効率~大きいの1台?小さいの2台? | トップページ | 油は醤油色~デフオイルの交換 »

2022年2月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28          

ottoの本棚

  • 徳永幾男: セイコーダイバーズウオッチ進化論 (ワールドムック 1078)

    徳永幾男: セイコーダイバーズウオッチ進化論 (ワールドムック 1078)
    セイコー社が普通に出しているであろう資料を継ぎ接ぎしただけの本。内容に伝説を求めてもパッキンについてもダイバーからの手紙についても同じことを繰り返し書くばかりで何の面白味もない。いかにネタが無いのかを自分で白状している感じ。 技術的な意味での興味からも全く期待はずれ。PTFEの方がガス(He)透過率が低いというデータを載せながら、何故PTFEではない材料を採用したのかの説明もない。(所要最小面圧が理由だろうが) そして、面白くない一番の理由は他社や他社製品との具体的、定量的な比較がないこと。他製品に対する優位性があってこその「進化」だろうに。件のダイバーの手紙に「どれもこれもダメ」と書いてあったという問題提起の話だけで、実際のHe飽和潜水でセイコー製がその問題を解決したのかどうかの裏付けがない。 著者は実績ある時計専門の機械屋さんのようだから出版に当たって名前だけ使われたのだろうと思わずに居られない。 最近で最も損したと思った本に認定。 (★)

  • ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)

    ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)
    10年くらい前に買った本書を再読。紹介されているトレーニング種目は多く、運動競技別のメニューも紹介されている。また、反復可能回数を基準にした重量設定の方法も簡単に紹介されているが、「漸進性の原理」にはほんの一言二言触れているだけで、トレーニングが進んだとき、どのようにウェイトの重量を増やせば良いのかについては殆ど記載がない。唯一、「導入段階のトレーニングプログラム例」の中に「最終セットで15回出来るようになったら2.5kg増す」というような記載があるのみ。確かに重量設定の方法を逆読みすれば目的とする効果が得られる反復回数となるように重量を増やして行くべきということは分からなくもないが一般には分かりにくいだろう。明らかに初心者向けの書籍なのに、その点に関するガイドが不足していることに疑問を感じる。厳密に言うと用い方が違うとしても、8×3法なり5×5法なりのような、分かりやすいウェイト重量調整の判断基準が欲しい。ウェイトを増やして行くこと自体が目的にかなり近いことであって、他のことはその手段なのだから、ウェイトの増やし方には章をひとつ割いても良いくらいだと思うので。 (★★)

  • クリス アセート: 究極の筋肉を造るためのボディビルハンドブック

    クリス アセート: 究極の筋肉を造るためのボディビルハンドブック
    内容は運動強度と栄養摂取に関する原則に特化しており、個別の運動についての詳細は含まれていないので注意。挿絵以外に図表は含まれない。 (★★)

  • マイケル ルイス: フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

    マイケル ルイス: フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち
    読書中

  • バートン・マルキール: ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理

    バートン・マルキール: ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
    主張には一貫性があり差し替えられた最新のデータに対しても矛盾がない。最高のリターンを得るためにベストな方法ではなく、普通の人が十分な(とは言えかなり良い)リターンを得られる可能性が高い方法を明確に示している点で個人投資家にとって最良の書ではないだろうか。株式、債券の範囲で投資を始めるなら、まずは歴史に裏打ちされたこの本を読んでからにすべき。投資窓口で投資商品を販売する方々も、この本を読んでから個人投資家に接すれば無駄な問答が無くなるように思う。まあ、そんなことをしたら彼らが自己矛盾に苦しむことになるが。 (★★★★★)

  • フレデリック ドラヴィエ: 目でみる筋力トレーニングの解剖学―ひと目でわかる強化部位と筋名

    フレデリック ドラヴィエ: 目でみる筋力トレーニングの解剖学―ひと目でわかる強化部位と筋名
    主な筋肉については起始と停止位置がその筋肉単独の状態で図解されているが、せっかくなら運動状態の図についても、その運動が主題にする筋肉だけを単独で図示してほしかった。その方が、その筋肉がどのような方向に力を発揮するのか、どのような方向に動作すれば筋肉に効率よく刺激を与えられるのかが分かりやすくなるように思う。筋肉の起始と停止位置が分からない図であれば、なにも表皮を剥いで筋肉を露出させた状態で運動の様子を描く必要がないのでは。 (★)

  • 荒川 裕志: プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典

    荒川 裕志: プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典
    筋肉が骨格と共に各々単独で図解されており筋肉の骨格への付着(起始,停止)位置が分かりやすい。図を見ればどのような動作が筋肉に刺激を与えるのかが想像できる。同シリーズのトレーニング編にも興味が湧いた。 (★★★★)

  • ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)

    ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)
    (★★★)

  • 世界文化社: Octane日本版 Vol.12 (BIGMANスペシャル)

    世界文化社: Octane日本版 Vol.12 (BIGMANスペシャル)
    素敵なグラビアを堪能。 (★★★)

  • 世界文化社: オクタン日本版特別編集 VANTAGE (BIGMANスペシャル)

    世界文化社: オクタン日本版特別編集 VANTAGE (BIGMANスペシャル)

Shops

  • Ride Out KAWASAKI 専門店
    友人である長谷川氏のバイクショップ。 杉並区善福寺一丁目青梅街道沿い。 KAWASAKI中心に取り扱い。

家作りリンク

家作りガイド

  • 住まいの水先案内人
    家作りに関する技術的な解説、資料、コツ、そして注意点が盛りだくさんです。非常に多くの内容が含まれていますが、それらが分かりやすく整理されています。このサイトを隅から隅まで読んで家作りに着手すれば余程のことがない限り致命的な問題が発生するようなことは避けられるのではないでしょうか。特定の工法、業者に傾いた解説も見当たらず、非常に良いサイトだと思います。
  • 建築家による1000問答の建築よろず相談
    基本的には建築に関係する相談のサイトです。建築士等によるQ&Aが充実しています。運営主体の性質上、建築士による建築計画・監理を強く推し、そのメリットを強調しています。

トレーニング

  • AthleteBody.jp
    このサイトのおかげで腹筋を割ることができました。無料サイトであるにも関わらず「ダイエットと筋肉トレーニングにおいて本当に必要なこと」が強調され、非常に有益な情報が提供されています。 夏前になると「6パックを手に入れる」的な特集を繰り返し組んで、色々な運動を羅列しただけの雑誌を買うのがバカバカしくなります。 多くの雑誌では、運動の優先度、そして何より時間軸でのトレーニングの進め方が載っていません。 「10回繰り返せるくらいの負荷で3~5セット行う」という書き方をしていることが多いのですが、「じゃあ、今日50kgのウェイトで10回3セット出来たとして、次回もその次も同じようにすれば良いの?」という疑問には答えてくれないことが殆どです。 読者がそう言った疑問を持たなければ毎回同じ負荷で同じことを繰り返し、つまり体は変わらない、ということになるわけで、記事として非常に中途半端であり不誠実です。 全員が6パックになってしまうと雑誌が売れなくなるので大事なところを端折っているのかも知れませんが。 このサイトでは、「行うべき基本」はシンプルで明確なので実行も容易。非常にお勧めです。
無料ブログはココログ