ブレーキホースは膨らむか?(2)
前の記事の続きです。
大雑把に現物を確認したので、次は文献をあたってみることにしましょう。
まずはこちら。
特許庁ホームページにある「標準技術集」の中の「自動車ブレーキ部品/伝達装置/油圧式伝達装置」です。
この中の資料によると、「自動車選書-ブレーキ」、(1987/11/30)、青木和彦著、山海堂発行からの引用として「100kgf/cm2の圧力で膨張量が10×10-3cc/cm」程度となっています。(この本は絶版でした)
なるほど、確かに膨らむのですね。(笑)
一つの資料では怪しいので次はこちら。
日立電線さんの「低膨張ブレーキホース『HTYホース』」の資料です。
これによると世界トップクラスの目標値として10.3MPaで0.15cm3/ftという数字が挙げられています。
上と単位を揃えれば5×10-33cc/cmですから、特許庁のホームページにあった「標準技術」の約半分。なるほど、世界最高水準の心意気が伝わってきます。純正品だって日々改良されているのは当たり前ですよね。(笑)
さて、次はこのブレーキホースの膨張率から、それによって起こりうるペダルのストロークを予想します。
計算に使う膨張率については、資料によって若干数字は違いますが、ここでは750の発売と近い時代の書物にあった数字ということで、「100kgf/cm2の圧力で膨張量が10×10-3cc/cm」という数字を使うことにします。
自動車に使われているブレーキホースの長さを40cm×4本=160cmとすると、100kgf/cm2の圧力での膨張体積は・・・あ、けっこう大きいですね。1.6ccほどになります。
マスターシリンダーの直径が1インチ(約25.4mm)だったとすれば、面積が5.01cm2程なので、マスターシリンダーでのストロークは0.316cm・・・約3mmというところです。
ブレーキペダルのレバー比が5くらいあると、ペダル位置では約15mmほど動くことになります。
なるほど。
一方、ブースターを使わずに100kgf/cm2の圧力を出そうとすると・・・マスターシリンダーのところで約500kgf、ペダルのところで約100kgfくらいの力が必要という計算になります。
つまり、エンジンを切り、両足で力いっぱいブレーキを踏み込むとペダルが15mmくらい動くと・・・。
まあ、圧力条件の100kgf/cm2というのは、単に本にあった数字を使っただけで、実際にブレーキラインにかかる圧力を私は知りません。いいかげんな私の計算だと200kgf/cm2程度になるので、ペダルのストロークは30mmくらいになるのかも知れません。
しかし・・・所詮30mmです。
これだと750のようにブースターが働いた状態では『バコッ』と踏み込めてしまう状況とかなり違っています。
ペダルのストロークが圧力によるゴムホースの膨張によるものであれば、あくまでその感触はバネ性を感じさせるもの、つまり踏み込むストロークと反力が比例するものであるはず。力を入れるとあるところからほとんど変わらない踏力でペダルが踏み込めてしまうのは…理屈に合わないように思います。
ただ、風船を膨らませるときは最初だけ力が必要で、あとは一定の力で膨らませられます。
ブレーキホースもそんな状態なのでしょうか??
謎はABSユニットに関する文献調べに続きます。
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