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2008年2月24日 (日)

屋根裏換気扇(4)

しつこく屋根裏換気扇です。(笑)

実は私の実家では昔からこれを取り付けてありました。50~60cmくらいの工業用換気扇で、2階階段踊り場の天井に取り付けられていました。

もちろん室内から屋根裏に排気するように設置してあり、そのサイズから考えると風量は5,000m3/hくらいはあるのではないかと思います。当然、その音はかなりのものでした。

ただし、それが効いたかというと・・・子供心に、あまり効いていたという印象はありませんでした。(笑)

最近、改めて父に確認してみても、

『う~ん、どうかなあ~』

と。(泣)

換気回数は軽く100回/h(!)くらいは出ているはずなんですけどね。

ではなぜ効かなかったのか?今になって考えると、下のような理由が思い浮かびます。可能性が高そうな順に①~④です。

①壁や窓の断熱が貧弱すぎたために、天井からの入熱を減らしたくらいでは何の効果もなかった。

②天井の気密性がないところに大量の空気を送り込むので、屋根裏の熱気が部屋の中に入り込んでいた。

③空気の出口が軒裏ボードの小さな穴だけなので、実際にはたいして換気できていない。

④屋根裏の空気が撹拌されたために、断熱が貧弱な天井からの入熱がかえって増えてしまった。

実際にどうなのか分かりませんが、やはり一番大きいのは①でしょう。手元にある積水ハウスのカタログによると天井からの熱損失の割合は1~2割のようですから、いくら天井からの入熱を避けたとしても、窓からも壁からも熱が入るようでは効果を感じることはできそうにありません。

②もかなり怪しいと思います。そもそもの発想は、家の中の比較的温度の低い空気を屋根裏に送り込むことで屋根裏の空気を外に押し出して屋根裏や天井の温度を下げることにあるわけですが、屋根裏と室内の気密が悪ければ、屋根裏に押し出した空気が再び室内に入って来てしまいます。

送り出したときと同じ温度で戻ってくるならまだ許せますが、一旦、屋根裏に入った空気はきっと熱せされているはずです。冷房などで多少なりとも温度の低い室内の空気を送り出して屋根裏で温め、結果的にそれをもう一度室内に取り込んでいるのだとしたら・・・これほどバカバカしいことはありません。冷房と暖房を同時につけてるようなものです。(笑)

結局、ただ屋根裏を換気すれば良いというものではなく、換気・断熱・気密をきちんと整理していなければ効果が得られないということなのでしょう。屋外である屋根裏の空間と、階段踊り場という室内空間を大風量の換気扇でつないでしまったというところに大きなミスがあったと思います。

『換気すれば快適』という考え方は、開放的な間取りと構造で風通しを良くして涼しく過ごす昔の建物のイメージから来ているところがあると思いますが、空調設備を使って室温を『制御する』今の家の考え方とごちゃ混ぜにすると、わけの分からないことになりそうです。

もしも同じファンを軒裏から排気する方向で使っていれば少しは違ったかも知れませんね。今になって考えれば分かることですが、当時はそこまで厳密に考えなかったのだと思います。

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コメント

ん~。
相変わらず的確な検証ですね!
わたしもottoさんと全く同感です。

断熱、気密、換気って考え出すと深いですよね。

はじめましてごんちゃんと申します。
私は、中国地方に某Pホームの鉄骨住宅人です。夏場の2階の暑さ対策でいろいろと模索してところこちらのブログにめぐり合いました。
建物の仕様が非常に似ており、考え方に共感する部分が多く、年も36歳(関係ないかな)なので、コメントさせてもらうことにしました。
私ごとですが、天井裏断熱材(ロックウール)は建築当初に指示して100mm×2枚敷きで施工してもらいましたが、残念ながら2階寝室が日が落ちても潜熱がすごくエアコン付けてももなかなか厳しい状態です。
断熱材では蓄熱すると思い、最近は何度も天井裏に入り、方法策を考えております。
そこで考えているのは、遮熱シート(輻射熱反射率97%)をロックウールの上にさらに敷き、天井裏の輻射熱を反射して見る方法がどうかと検討しています。
種類もいろいろあり、透湿防水型(湿気も透すタイプ)もあるようですので、ロックウールにこもることもないようです。
ただ欠点は、熱を反射する側に熱い空気が対流すると熱が伝わってしまうようです。(例 電気ストーブでは熱を反射してシートは熱くならないが ドライヤーの熱風ではシート自体が熱くなる)

通常の施工方法で多いのは、屋根の裏側に30mmの空気層を設けて密閉するような施工方法が有効的なようですが、施工方法にコツがあるらしく、効果がないと言う意見と、絶大な効果で施工している工務店もあるようです。(例 FPの家など)

一方的にコメント致しましたが、夏場の2階が快適になる方法について、私もよい結果がでましたら、ご連絡させていただきます。今後ともお付き合いくださいますようお願いします。

ごんちゃんさん、はじめまして。コメント有難うございます。遅くなり申し訳ございません。

Pホームで建てられたんですね。Pホームは私たちも候補にしていたメーカーさんです。

新築時に施工のロックウール100mmの2枚重ねでも夏の2階は”暖かい”とのこと。何だかうちも先が見えてしまいました。早く追加処置を考えないといけないようです。(笑)

天井と屋根の間で輻射熱伝達を処理できれば効果は大きいのではないかと思いますが、コメントをいただいたとおり、屋根裏換気との併用では対流熱伝達による伝熱も発生してしまうように思います。また、2次輻射の問題もありますから、まじめに計算するかやってみるか、ですね。

この件に関してはこれからもゴチャゴチャ記事にすると思いますので、また是非コメントをいただければと思います。まずはヒントをいただいた「FPの家」について調べてみます。

今後ともよろしくお願いいたします。

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