ブレーキのこと(2)~E32 750iL
さて、ペダルタッチが特徴的な750のブレーキ。少々大きめの踏力を必要としながらも、その効きはというとかなり良い部類だと思います。
低速から高速まで、ペダルを踏みさえすれば一瞬でABSを動作させるだけの力が出せますし、少々重めの踏力も積極的に運転するのに丁度良い具合です。
『家から出てすぐの小さな交差点で飛び出しに遭っても、きちんと前輪が鳴いて止まる。』
『高速でもガツンと踏めばその瞬間にABSが動作を始める。』
こんなあたりまえのようなことが、メーカー出荷状態で出来るブレーキと出来ないブレーキがあるというのは本当に不思議です。
『そんなバカな』と思われるかも知れませんが、実際のところ、私の所有するもう一台の某車では、力いっぱいブレーキを踏んでも制動力が立ち上がってからABSが動作するまでにかなりの間があります。
せいぜい20km/hくらいの速度で家のすぐ近くで飛び出しに遭っても、ABSが動作するような制動力を出すことが出来ません。ペダルがぐしゅっと入りながら、すうっと車が進んでしまいます。その間、2mくらいは確実に進んでいるでしょう。飛び出しを避けるなら、これは致命的な距離になり得ます。
レスポンスが鈍いのは高速でも同じで、力いっぱいブレーキを踏んだとしても、ABSが動作を始めるまでには同じように時間がかかります。効きだしてしまえばかなりの制動力を発揮するのですが、そこまでに時間がかかっては何の意味もありません。
いくらエア抜きをがんばっても変化がないので、もはや某車のメーカー設定というものがこの程度のものなのでしょう。基本性能がこれで、何がブレーキアシストかと思います。
これについては、ブレーキに介在させている車間追従等の付加機能も効きが甘い原因なのかもしれませんが、何よりも『粉の出ないパッド』が一番の問題であるような気がします。
制動自体に長い時間がかかるほどの速度で危険に遭遇することなんてそれほど多くないのですから、危険回避という意味では初期制動の能力こそ大切だと思います。そういう意味で、汚れることを嫌ってか初期制動すら出来ない効かないパッドを付けて車を売るというのは如何なものでしょうか。安全を軽視していると言われてもしょうがないように思います。
『スポーツカーに乗ろうと思う』と言ったZ32でさえ、ノーマルパッドでは同じような雰囲気でした。私は『これはいけない』と思ってすぐにパッドを交換し、それだけでホイールの汚れと引き換えに十分な制動力を手に入れましたが、逆にそもそものブレーキの設定にはかなりの疑問を感じました。パッドだけ『汚れるパッド』にしておけば良いわけです。なぜ汚れることをそれほどまでに嫌うのでしょうか。輸入車はそのままで受け入れられているのに。
実は今日、通勤路の交差点で信号無視の車が目の前をすっ飛んで行くという、本当に危険なシチュエーションがありました。
750のブレーキがギャンッと効いたおかげで大事に至ることはありませんでしたが、もしも某車に乗っていたら、鼻っ面に横から突っ込まれていたかも知れません。
自動車が最も大切にしなければいけない危険回避のための制動は、そのほとんどが冷え切った状態からの一発制動です。そんなときは、耐フェード性もコントロール性も関係ありません。ABSが動作するだけの制動力をどれだけ短い時間で発揮するかが重要なのです。
某車も750もディスク径は同じです。ブレーキディスクの径なんか小さくても良いんですから、某車のメーカーにはガツンと効くパッドをお願いしたいものです。
そして、
『750のブレーキは”正しい”』
本当にそう思います。
『ドイツ車』とひと括りにするほどの知見がなので、とりあえずそういうことで。
« ブレーキのこと(1.2)~ブレーキブースター | トップページ | 車のTCO~km単価 »
「車」カテゴリの記事
- 宮沢湖メッツァビレッジ(2019.05.26)
- 製品の均質性に感心! ~ 交換部品手配(2018.06.17)
- 大洗へ一泊旅行 ~ 海辺編(2018.03.04)
- 大洗へ一泊旅行 ~ 宿・食事編(2018.03.03)
- モーニングクルーズ ~ 緑の車(2018.01.19)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
メルセデスとBMWは本当に「走る」「曲がる」「止まる」の基本ができた車だと思います、訳の判らない数値の羅列やイメージ戦略にばかりはしっている国産メーカーとの違いはやはり乗らなければ判りません。
投稿: たけ | 2008年2月 2日 (土) 01時00分
たけさん、コメントありがとうございます。
日本車の場合、技術どうこうではなくて性能目標の設定が微妙なんだと思います。
例えばブレーキなら汚れず鳴かず…を絶対条件にしてしまっているのではないかと。初期制動すら犠牲にして。(笑)
パッドだけを換えれば済むのにそうしないのは、つまりわざとだという言うことですよね。不思議です。
投稿: otto | 2008年2月 2日 (土) 21時25分
欧州車全般にブレーキの効きは国産より良いと思います。
国産車のブレーキに対する考え方はオカシイと思います。
ABSも「ロックしない」ことを重要視していて「制動」を軽視しているように思います。
わたしの足グルマもABSをカットしてしまいたいと日々考えています。
ガツンっと効かないで、なにがブレーキなんでしょうね。
投稿: shalo | 2008年2月 2日 (土) 21時52分
shaloさん、コメントありがとうございます。おそらくメーカーとしての設定仕様が大きく違うんでしょうね。
「日本車」と一括りにしなかったも訳がありまして、実は妻のフィールダーなんかはとってもイイ感じなのです。
某車(ステージア)と同じようにバキュームブースター+ゴムホースなのにペダルタッチはガツンとしていますし、もちろん初期制動でも簡単にABSが利いてきます。その差が一体どこにあるのか・・・謎は深まります。(泣)
そんなわけでABSカットの件、私の某車の確認を終えてからにしませんか?(笑)
実はワタクシ、以前に前後のブレーキバランスが崩れた(崩した)非ABS車で大変なことになった経験がありまして。そのへんはまた別記事で・・・。
投稿: otto | 2008年2月 5日 (火) 12時32分