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2007年11月 1日 (木)

調査不足~太陽光発電

突然ですが、私は機械的なものが好きです。メカメカしい設備、それから精密な機械、そういうものにとても魅力を感じます。

そんなわけで、自分たちの家作りでも、実は太陽光発電も一応は検討してみました。『環境のために』というような素敵な価値観からではなく、単に『面白い設備』として興味があったからです。もしも電力費用のコストメリットが出れば儲けもの、くらいの気持ちでした。(妻は全く興味が無かったようです)

しかしながら、下のようなことを考えて、最終的には設置を見送ることにしました。

  1. 家のデザインの都合上、太陽光発電に適した向きの屋根がない。
  2. 今後の売電単価が不明である。
  3. 電気料金で設備費を回収するのに10~15年かかる計算であるのに対し、インバーターその他付属機器の寿命が最短10年くらいの見込み。
  4. 太陽電池の発電効率はまだたったの20%程度。効率100%を目指して性能向上の余地は十分にある。半導体関係は進歩の早い技術分野なので、ある日突然、発電効率が2倍にも達するような新型が発売されたら悔しいに違いない。(笑)

このように、理由はいくつかあったのですが、上の中で一番大きな理由は4.でした。

だって、パソコンでもいつも悔しい思いをするのに、車1台分くらいの値段の設備です。まして発展途上の設備なのです。慎重にならざるを得ません。

でも、その後1年経ちましたが、画期的な太陽電池が発明されたというニュースは遂に見ないままです。

先日それに気がついて調べてみると・・・

私の認識が完全に間違っていることが分かりました。(泣)

なんと、

『太陽電池の発電効率は、もうほとんど理論的上限に近づいてしまっている。』

のだそうです。

私が設置を見送った一番大きな理由付けが一気に崩壊した形です。(号泣)

完全な調査不足。検討が全く足りていませんでした・・・。

 

では、なぜ太陽電池の発電効率が理論値の上限に近付いていると言えるのか?

専門ではないので私の理解した範囲で少々。

太陽電池というのは、光のエネルギーが物質の中で電子を揺り動かす作用を使って光を電流に変えています。

電流として利用できるようにするためには、光が電子をある高さの壁の向こうに跳ね飛ばさないといけないのですが、電子がいくら高く飛んで壁の向こうに落ちても電子一個分の電流にしかならず、余計なエネルギーは無駄になるだけです。逆に低すぎれば壁を飛び越えられませんから、全く電流になりません。

光のエネルギーというのは、光の波長によって決まります。(E=hν)波長が長い光はエネルギーが低く、波長が短い光はエネルギーが高いのです。

したがって、波長が長くエネルギーの小さな光がどんなにたくさん当たっても、電子を壁の向こうに跳ね飛ばすことは出来ません。壁の手前で電子がうごめくだけです。逆に、短すぎる波長の光は電子を高く跳ね飛ばすものの、発生する電流は壁を超えるギリギリの波長の光を与えた時と変わりません。

つまり、広く広がった波長分布を持った太陽の光の中で、発電のために使える波長域というものはかなり限定されていて、8割などという発電効率は理論的にあり得ないのだそうです。

理論的な発電効率の上限は約3割だそうで、現状で最も広い波長域を発電に利用できる接合型と呼ばれる太陽電池では、この発電効率は既に理論値の上限にかなり近いとか。

一般的な太陽電池の効率が2割程度だそうですから、理論上限との差はあまりないということになります。

つまり、今後も劇的な効率向上というのはあり得ないということです。

だったら付けておいても良かった…かな?と思います。

逆にこれから設置を検討される方は、値段の多少の下落はあるにしても、設置面積や出力などについては将来的にもそれほど大きく変わらないはずですから、ある程度安心して設置されれば良いのではないかと思います。(責任は持てませんが)

 

しや、完全な調査不足。家作りでプランク定数(高校物理)まで遡るとは思いませんでした。

家づくりって深いですねえ…。(笑)

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家作り」カテゴリの記事

コメント

太陽光発電、kogeの知人が販売をしておりました。彼曰く、どういう理由かはわかりませんが年々発電量は下がっていくようです。表面の汚れの為か品質の低下なのかは分かりませんが、ottoさんの言われるインバーターなどの寿命の件もあり、現状手を出すべきではないと言ってました。

お客さんに試算する数値も達成しない事も多々あるようですし、電池そのものでない土台や枠などの寿命は半永久とはいかないようでした。

という事でkogeは現状は入れるべきではないと判断し見送ったのですが、どなたか身近な体験談が聴ければ心変わりするかも。ottoさん、どうですか(笑)。

太陽光発電は興味深いネタですよね。
わたしもottoさんと同じく検討はしましたが見送りました。
わたしの場合の理由は2点です。

まずはkogeさんのご指摘にもあるとおり、発電量が年々下がっていくという点。

わたしが調べた限りでは主な原因はパネル表面の汚れだそうです。
ず~っと屋外に曝された状態ですから、その汚れっぷりや想像に余りあります。
今の時代ですから、光触媒だなんだで汚れにくくすることは可能でしょうが、そういったコーティングの寿命もそう長くはないでしょう。
広~~い庭の日当たりの良い所に設置して、天気のいい日には洗車のついでに発電パネルも洗ってしまうなんていう環境でないとダメなんじゃないかと。

そうは言っても「やっぱり太陽光発電はエコじゃないか!」
そんな声も聞こえてきますが、ここでわたしが見送った二番目の理由。

果たして太陽光発電は本当にエコなのか?

発電パネルを製造するために使うエネルギーや資源と、太陽光発電によって節約できる電力とを比較したときに、果たして節約できているのだろうか?って思うんです。
細かいことを言えば、メーカーは発電パネルを製造するために工場を建てたりもしているはず。そんな周辺事情もトータルしてもなお地球環境に与える負荷が小さいのだろうか?

さらにさらに、あと10年ほどすると使用済み発電パネルや周辺機器の廃棄が始まるはず。
こいつらの処分方法やリサイクル方法は確立しているんだろうか?
エコな太陽光発電なんだから、まさか処分場に埋め立てはないだろうとは思いますが、イマイチ不透明です。

そうそう、ハイブリッド自動車にも同じ疑問を抱いています。
あれに積まれているバッテリー。果たしてリサイクルは可能なんだろうか。

そんなことを考えていたら『電気は買った方が気楽だ』という結論に至った次第です。
文系のくせに無闇に考え込んでしまうため、エコ商戦には乗れないshaloでした。(笑)

kogeさんこんにちは。そうですか、売っている方が仰るならやはりそうなのでしょうね。

屋外設置の電気機器だけに性能の維持というのはなかなか大変そうです。趣味的な雰囲気はあって楽しそうなのですが。

また、湯沸しへの利用の場合、光→電気→熱という変換を繰り返すよりも、光=熱をそのまま使う太陽熱湯沸かし器のほうがエネルギーの利用効率は高いのだという話もあり・・・。

体験談については・・・kogeさんこそ如何ですか??(笑)

shaloさんこんにちは。
太陽電池パネルを庭に設置というのは、実はちょっと考えたことがあります。屋根の上に掃除に行くのはちょっと大変でも庭なら、ですよね。

その他にも、例えば庭先に作ったパーゴラの上が太陽電池、カーポートの屋根が太陽電池、下屋の上が太陽電池、あるいはバルコニーの床が太陽電池(!)とかなら掃除も簡単で場所もとらない・・・かな?

そして太陽電池は果たしてエコなのか?という点ですね。実は私、前の記事ではそこを避けました。話が長くなるので。(笑)

LCA、EPTといった指標で色々と研究されているようですが、諸説紛々いまいち定説のようなものが見当たりません。だいたい1.5~6年くらいで製造エネルギーを回収できるとする研究が多いようですが。

環境問題というものは、どうも研究者の立場がその導く結果に大きな影響を与えるようです。ネット上にある短い要旨だけを読んでも集計の境界条件をどのように取っているのか、どのような仮定を使っているのかまでは分かりません。

私としては太陽電池の製造でゴハンを食べている人の日常生活に必要な全てのエネルギーまで含めるのが筋だと思うのですが、どういう計算になっているのでしょうか・・・。

引き続きワッチします。

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  • 徳永幾男: セイコーダイバーズウオッチ進化論 (ワールドムック 1078)

    徳永幾男: セイコーダイバーズウオッチ進化論 (ワールドムック 1078)
    セイコー社が普通に出しているであろう資料を継ぎ接ぎしただけの本。内容に伝説を求めてもパッキンについてもダイバーからの手紙についても同じことを繰り返し書くばかりで何の面白味もない。いかにネタが無いのかを自分で白状している感じ。 技術的な意味での興味からも全く期待はずれ。PTFEの方がガス(He)透過率が低いというデータを載せながら、何故PTFEではない材料を採用したのかの説明もない。(所要最小面圧が理由だろうが) そして、面白くない一番の理由は他社や他社製品との具体的、定量的な比較がないこと。他製品に対する優位性があってこその「進化」だろうに。件のダイバーの手紙に「どれもこれもダメ」と書いてあったという問題提起の話だけで、実際のHe飽和潜水でセイコー製がその問題を解決したのかどうかの裏付けがない。 著者は実績ある時計専門の機械屋さんのようだから出版に当たって名前だけ使われたのだろうと思わずに居られない。 最近で最も損したと思った本に認定。 (★)

  • ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)

    ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)
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    主張には一貫性があり差し替えられた最新のデータに対しても矛盾がない。最高のリターンを得るためにベストな方法ではなく、普通の人が十分な(とは言えかなり良い)リターンを得られる可能性が高い方法を明確に示している点で個人投資家にとって最良の書ではないだろうか。株式、債券の範囲で投資を始めるなら、まずは歴史に裏打ちされたこの本を読んでからにすべき。投資窓口で投資商品を販売する方々も、この本を読んでから個人投資家に接すれば無駄な問答が無くなるように思う。まあ、そんなことをしたら彼らが自己矛盾に苦しむことになるが。 (★★★★★)

  • フレデリック ドラヴィエ: 目でみる筋力トレーニングの解剖学―ひと目でわかる強化部位と筋名

    フレデリック ドラヴィエ: 目でみる筋力トレーニングの解剖学―ひと目でわかる強化部位と筋名
    主な筋肉については起始と停止位置がその筋肉単独の状態で図解されているが、せっかくなら運動状態の図についても、その運動が主題にする筋肉だけを単独で図示してほしかった。その方が、その筋肉がどのような方向に力を発揮するのか、どのような方向に動作すれば筋肉に効率よく刺激を与えられるのかが分かりやすくなるように思う。筋肉の起始と停止位置が分からない図であれば、なにも表皮を剥いで筋肉を露出させた状態で運動の様子を描く必要がないのでは。 (★)

  • 荒川 裕志: プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典

    荒川 裕志: プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典
    筋肉が骨格と共に各々単独で図解されており筋肉の骨格への付着(起始,停止)位置が分かりやすい。図を見ればどのような動作が筋肉に刺激を与えるのかが想像できる。同シリーズのトレーニング編にも興味が湧いた。 (★★★★)

  • ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)

    ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)
    (★★★)

  • 世界文化社: Octane日本版 Vol.12 (BIGMANスペシャル)

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    素敵なグラビアを堪能。 (★★★)

  • 世界文化社: オクタン日本版特別編集 VANTAGE (BIGMANスペシャル)

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    基本的には建築に関係する相談のサイトです。建築士等によるQ&Aが充実しています。運営主体の性質上、建築士による建築計画・監理を強く推し、そのメリットを強調しています。

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    このサイトのおかげで腹筋を割ることができました。無料サイトであるにも関わらず「ダイエットと筋肉トレーニングにおいて本当に必要なこと」が強調され、非常に有益な情報が提供されています。 夏前になると「6パックを手に入れる」的な特集を繰り返し組んで、色々な運動を羅列しただけの雑誌を買うのがバカバカしくなります。 多くの雑誌では、運動の優先度、そして何より時間軸でのトレーニングの進め方が載っていません。 「10回繰り返せるくらいの負荷で3~5セット行う」という書き方をしていることが多いのですが、「じゃあ、今日50kgのウェイトで10回3セット出来たとして、次回もその次も同じようにすれば良いの?」という疑問には答えてくれないことが殆どです。 読者がそう言った疑問を持たなければ毎回同じ負荷で同じことを繰り返し、つまり体は変わらない、ということになるわけで、記事として非常に中途半端であり不誠実です。 全員が6パックになってしまうと雑誌が売れなくなるので大事なところを端折っているのかも知れませんが。 このサイトでは、「行うべき基本」はシンプルで明確なので実行も容易。非常にお勧めです。
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