タイヤの空気圧について
ガソリンスタンド、タイヤショップなどでタイヤの空気圧を調整させると、空気圧をメーカー指定よりもだいぶ高くすることが多いようです。
扁平タイヤになると特にその傾向が高く、技術的に何の根拠もなく「扁平タイヤだから高めにしておきます」などと言ってやたらと空気を入れたがる傾向があるように思います。ひどい店になると、タイヤを組んだときにそのまま3kg/cm2くらいの空気圧で送り出してしまうこともあります。確かに段差を乗り越えるときにリムを守ることだけを考えればそれでも良いのでしょうけれど、ちょっとまずいんですよね。
高めの空気圧では確かに乗り心地が固めになって、ユーザーがスポーティーな感覚を求める場合は好ましいと感じる場合があります。若干の転がり抵抗の低減も期待されるということも、ユーザにとっては好ましいことでしょう。
しかし、です。本当に色々な条件でテストしてその空気圧を選んだのなら良いのですが、ごく普通の走行状態でのフィーリング、あるいは単なる気分だけで空気圧を選んでしまうと、緊急制動、危険回避など、意図せず車両が限界状態に達してしまったとき、”止まらない、曲がらない、気付いたときにはもう遅い”ということになってしまう可能性があります。
あまり理解されていないようですが、多くの場合、高すぎる空気圧はタイヤのグリップを”低下”させます。
何を言っているんだと思われる方もいらっしゃるでしょうけれど、実際に試してみればすぐに分かることです。
特に分かりやすいのはウェットコンディションでの急制動です。タイヤの空気圧をメーカー指定とプラス0.5kg/cm2とに設定して、適当な速度からガツンとABSを利かせて制動をかけてみてください。空気圧が高い時のほうが明らかに制動距離が伸びることが分かるはずです。
加速の場合、ATだとちょっと試しにくいのですが、ストール発進を試せばホイルスピンの状態が違うことが分かるはずです。空気圧が高いとホイルスピンが激しいのは、べつにエンジン出力が上がったからではなく(笑)、タイヤのグリップが下がったからです。発進加速を競う目的(ゼロヨン)で最高のトラクションを得ようとする場合は多くの場合、タイヤの空気圧をメーカー指定より低く調整します。それも温間で、です。
ではなぜ空気圧が高すぎるとタイヤのグリップが下がってしまうのか?
単純にタイヤの接地面積が減ってしまうからです。
乱暴な言い方をすれば、接地面積は空気圧とタイヤにかかる荷重で決まります。車両の重量は一定ですから、タイヤへの荷重はいつも一定です。タイヤはゴム風船のようなものですから、この一定の荷重でタイヤを地面に押し付けたとき、空気圧が高いほうが接地面積は減ってしまいます。
タイヤの幅を広げても、空気圧が一定であればタイヤ進行方向への接地長さが減るだけです。ですから、タイヤを太くして空気圧を上げているというのは接地面積を稼ぐという目的からすれば非常に無意味な行為だと思います。ましてや大きなキャンバーが付いているようでは・・・。
国民生活センターのサイトに「空気圧が不適正なタイヤに関するテスト」という実験レポートがありました。
どちらかというと空気圧の低いタイヤの危険性について取り上げたレポートですが、一部、高い空気圧での制動性能の低下についても書かれています。興味のある方はどうぞ。
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