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2007年5月22日 (火)

LCA~メーカー発表値を確かめる

環境問題云々についてはまた今度、時間のあるときにじっくり書きたいと思っていますが、地球温暖化と絡めてよく話題になる「二酸化炭素排出量」について、「トヨタプリウスLCA資料」にある、自動車の製造と使用に関係する二酸化炭素排出量を簡単に計算してみたいと思います。

トヨタの資料によると自動車の使用状態における二酸化炭素排出量(燃料由来)は、製造に必要な二酸化炭素排出量に対して大きいので、いわゆる燃費の良い車に乗る(乗り換える)ことによって全体の二酸化炭素排出量を減らすことができるということになっています。

ただ、以前の記事でも書いたとおり、二酸化炭素排出量というのは、集計の境界条件次第で如何様にも変わります。産業というのは人が居なければ成り立ちませんし、人は産業がないと暮らして行けませんから、自動車に関わる二酸化炭素排出量を求めるのであれば、工場で使われるエネルギー以外に、自動車産業に関わる人、その家族の日常生活による二酸化炭素排出量も加算されるべきです。(もちろん他の産業について考えるときもです。)

そんなわけで、境界条件を広く取った場合の自動車の生産、メンテナンス、走行までに発生する二酸化炭素排出量をおおまかに計算してみました。果たして素人の計算はメーカー発表値とどのくらいの違いを見せるでしょうか。

まず、計算の方法です。

自動車産業というものも結局は機械製造業ですから、他の機械製造業とそれほど極端に二酸化炭素排出量の有様が違うとは考えられませんし、社員の家族の日常生活も他の産業に関係する人々と違うということはないでしょう。

というわけで、日本の二酸化炭素排出量をざっくり人数割りで割ってみると、自動車産業関係から出される二酸化炭素排出量が分かりそうです。

関連産業まで含めた就業人口の数字を探すと、 「自動車産業および関連産業における就業人口(2003年)」((社)日本自動車工業会)に、全就業人口6432万人のうち、507万人が自動車関連産業に就いているという記述がありました。これは就業人口の7.9%にあたります。

2003年の日本の平均世帯人数は2.7人程度ですから、人数にして1370万人、2003年における日本の人口が1億2700万人なので、割合にして約11%の人が自動車産業によって生活しているということになりそうです。

全国地球温暖化防止活動推進センターによると、2003年の日本の二酸化炭素総排出量は「12億5900万トン」だそうです。

単純に人数割りで二酸化炭素排出量を計算すると、約1億4000万トンくらいが自動車産業関係者から出されているということになります。

(社)日本自動車工業会の資料によると、2003年度の自動車(四輪)生産台数は848万台です。したがって、1億4000万トンの二酸化炭素が、848万台の自動車の製造とメンテナンスのために排出されたと考えることができます。計算すると、1台あたりの排出量は、16.5トンです。

一方、走行に必要な燃料の量は、プリウスのLCA資料との比較のため、「プリウスと同クラスのガソリン車」の「10・15モード走行燃費」を使って求めます。「プリウスと同クラスのガソリン車」として、とりあえず1500ccクラスのカローラ・アクシオの10・15モード走行燃費を見ると18.2km/Lとありますから、10万キロ走るのに必要な燃料は約5500Lです。

省エネルギーセンターの記事によると、ガソリン1Lを燃やしたときに発生する二酸化炭素は2.36kgだそうですから、「プリウスと同クラスのガソリン車」が10万キロ走ると13.0トンの二酸化炭素を排出することになります。

したがって、二酸化炭素排出量は製造とメンテナンス、及び使用の合計で29.5トン。割合にすると、製造とメンテナンスが6割、使用が4割です。

さて、ここまで計算してプリウスのLCA資料を見直します。トヨタの資料では二酸化炭素排出量がトン単位ではなく独自の指数でしか書かれていないので概略の割合でしか比較できませんが、「同クラスガソリン車」の二酸化炭素排出量は製造とメンテナンスを合わせて約2割ちょっとということになっています。

これは私のいい加減な計算の1/3です。走行に関わる二酸化炭素排出量の計算はそれほど大きく狂わないでしょうから、この差は製造とメンテナンスによって排出される二酸化炭素量の見積もりによるものでしょう。

この種の計算で高々3倍の差ですから、表題の「メーカー発表値を確かめる」という意味では、「メーカー発表値は実態とかけ離れていないようだ」と納得できました。

結局、古い燃費の悪い車に乗っている人が仮に二酸化炭素排出量を減らそうと思えば、これからその車で走るであろう走行距離と、新しい車の製造によって排出される二酸化炭素量、そして燃費の差を計算して選択を行う必要があるでしょう。

車の製造、そして今乗っている車の廃棄によって排出される二酸化炭素の量を走行燃費で取り返すには、新しい車でそれなり(4~5万キロ)の距離を走る必要があることを忘れてはいけないと思います。

ただこれも、自分が買わなければ自動車メーカーが自動車を作らず二酸化炭素を排出しない、という前提があっての話ですが。

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