車両火災のこと
ちょっと気になって調べてみました。消防庁の統計によると、近年では年間約7,000台の車が燃えているそうです。(マスコミが飛びついた某メーカーの車だけでなく)
単一の出火原因としては住宅と同じく「放火」が25%程度と一番多く、「配線」「排気管」「衝突による火花」の合計が30%くらいになるようです。
少なくない件数だと思いますが、なぜか自動車の防火・発火対策というのはあまり議論されません。ここがちょっと不思議なところです。各部材料の不燃化ですとか、電気回路の工夫ですとか、方法としては色々あると思うのですが。
特に、事故のときに発火してしまうというのは最悪ですよね。車両から脱出できなくなってしまいますから。車両の衝突安全性を評価するなかで、乗員の受ける衝撃の大きさばかりでなく、「発火しない性能」(2次安全性の一つ)も設計評価されるべきではないかと思います。
これについて、国土交通省「自動車アセスメント」の資料によると、「平成12年度自動車アセスメント実施要領(案)」についてのパブリックコメントで
「エンジン駆動の状態で試験を行い燃料漏れが発生し火災が起こった場合、ダミーからの貴重なデータが採取できない可能性が予見されますし、また、バッテリー液飛散に伴う試験実施者の安全も確保しなければならないこと等から、エンジンは駆動しない状態等一定の条件下で衝突試験を実施しています。なお、世界的に見て、衝突試験はエンジンを駆動しないで実施しています。」
という、運輸省(当時)としての回答がありました。
この回答、ぱっと見、「なるほどね、ダミーのデータがね」と思うのですが、よく考えると
「おい、ダミーが燃えたら、それが一番重要な試験結果だろう!」
と突っ込みたくなります。
衝突時の衝撃がどうであろうと、次の瞬間に燃え上がってしまう車には乗りたくありません。
エンジンが止まっていて燃料ポンプも回っていない自動車なら、正面からどんなに壊してもガソリンが漏れ出るはずがありません。当然、燃えたりしませんよね。
この試験方法の設定自体が、実態に即さない非現実的なものであるとは言えないのでしょうか。「衝撃」「火災」という、乗員に被害をもたらす大きな2つの要因のうち一つを、試験のために元から絶ってしまっているわけですから。
実際、乗員が受ける衝撃を基準にした試験では安全性が高いと評価された車が、実際の事故では燃えてしまって非常に不安全(?)ということもあり得るのでしょう。
「ダミー君は焼けずに救出できたか」
という項目をぜひ追加したいものです。
また、火災ということについて考えると、この自動車アセスメントでは追突されたときの評価が行われていない(少なくとも公開されていない?)ことも気になります。
私が通勤で日常使う高速道路で起こる重大事故というのは、たいていが大型車両の関係する多重衝突事故です。そして、その何割かで車両が燃えているのです。ガソリンタンクはたいてい車両の後部にありますから、追突されたときに弱いのは当たり前です。
(ちなみに、NM35もZ32(2シーター)もタンクがリアアクスルの上にあります。実はそれも気にして選びました。)
一部のメーカー・車種では、衝突時のエアバッグの動作と同時に、バッテリーターミナルの部分で電気を遮断してしまうものもありますが、まだ数は少ないようです。
ただ、ショート防止の観点から見ると、バッテリーの端子が凸形状であること自体が既に問題であるような気もします。たいていは簡単なカバーが付いていますが、凸部に何かが接触してカバーが破ければすぐにショートです。
う~ん、衝突安全性について興味が出てきました。もっと勉強する必要がありそうです。
« 電池ぎれ~重量バランス | トップページ | ALCのこと »
「車」カテゴリの記事
- 宮沢湖メッツァビレッジ(2019.05.26)
- 製品の均質性に感心! ~ 交換部品手配(2018.06.17)
- 大洗へ一泊旅行 ~ 海辺編(2018.03.04)
- 大洗へ一泊旅行 ~ 宿・食事編(2018.03.03)
- モーニングクルーズ ~ 緑の車(2018.01.19)
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 車両火災のこと:
» ハンドル握ってどこまでも [ハンドル握ってどこまでも]
ドライブ・車・車から見える日本社会などを自分なりに
語ります。 [続きを読む]
コメント