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2007年1月12日 (金)

暖房熱量(1)

以前に、「朝になっても2階の風呂場や廊下が暖かいのはバスタブに入っているお湯のせいか?」と書いたことがありました。その後、状況を観察してみると、お湯を抜いてしまった日の次の朝は室内の温度が下がっています。

やはりあの暖かさは風呂のお湯の効果だったようです。そんなわけで、妻に「できるだけお湯を抜かないでおいて」と頼みました。私は朝、風呂の横にある洗面所で身支度をするので。

ちょっとした蓄熱暖房機ですね。

さて、この一件で興味がわいたので、いわゆる畜熱暖房機についてちょっと計算してみようと思います。果たしてその能力はどれほどのものなのか…?

とは言っても、あくまでこれは数字のお遊びです。べつに何かの優劣を論じようとしているわけではなくて、こんな計算をするとこういう結果になりますよというだけのことですので、どうかそのあたりはご理解ください。

さて、お遊び開始です。

(1)全館暖房に必要な熱量

蓄熱式の暖房機というのは比較的、全館暖房的なものを目指して使われることが多いようです。これは、比較的大きな熱量を、低価格の電気で得られるということに関係しているようです。

ただ、暖房の形式が何であれ、建物の構造が同じであれば室内の温度と外気との温度差を一定に保つために必要な時間当たりの熱量は同じです。(本当は風速が壁の熱伝達係数に影響しますが)

それでは、いわゆる全館暖房を実現するにはどのくらいの熱量が必要になるのでしょうか。

計算は簡単です。建物の熱損失係数に、内温と外温の差、断熱面の面積、そして時間をかけてやるだけです。これで一定時間に逃げる総熱量が求められるはず。逆に言うと、内温を一定に保つには常にその熱量を内部に供給しなければならないということです。

条件として、

  • 断熱仕様 : 次世代省エネ基準 (Ⅳ地域 2.7W/m・K)
  • 床面積 : 100m+100mの2階建て室内高さ合計5.5m
  • 外気温度 : 4℃ (2月の東京の平均気温・24時間の熱量を考えるので平均気温で計算)
  • 室内温度 : 18℃

とします。

過程は省略して、いきなり計算結果です。建物の中から外に逃げる熱は15.9KWぶんと出ました。つまり、15.9KWの熱量を常に室内に供給していないと、室内温度を18℃に保つことはできないというわけです。もちろん間仕切り等による室内の温度分布は無視した計算ですが、全体としてはそういう感じのようです。

(2)エアコンの電気代

先にエアコンでの計算です。仮にこれをCOP5.0のヒートポンプ式エアコンで賄おうとすると、消費電力は15.9KW÷5.0=3.2KW。電気料金をKWhあたり¥20とすれば、24時間全館暖房による1ヶ月の電器料金は、

¥47,247

ということになります。

実際に熱量が必要になるのは外気温の下がる夜間ですから、オール電化の夜間電力料金を活用すれば、昼間の料金が上がることを考えても、もう少し料金は下がるかも知れません。

ちなみに灯油の場合は、熱量を34,425KJ/Lとして、¥93,808と出ました。(あれ?電気の方が安いのか・・・な?)

今回は換気による熱損失は計算していません。これもそれなりに大きな数字なるでしょう。ただ、建物に24時間換気システムが付いていても、今の時期、本当に外気導入口を開けている方がどれだけいらっしゃるのか疑問ですが。建物内を負圧にしているだけでは換気になりませんからね。

なんだか記事が長くなってきたので今日はこのへんで。

この熱量を蓄熱暖房で供給するとするとどういうことになるかについてはまた後ほど。

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コメント

お。やってますねー。
ottoさんの計算結果に興味津々です。
訳あって、我が家には未だ電気代の請求が来ていないので、いくらになるのか不安なんですよねー。
そうそう。うちは今24時間換気は止めて、壁内インナーサーキットの空気だけを動かしています。冬本番を前に、できるだけ基礎を温めたいんですよ。
基礎にも蓄熱。蓄熱。。。

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