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2006年8月27日 (日)

木工事(3)

Img_0937 内装工事がだいぶ進んでいました。壁は一面、断熱材パネルの銀色のフィルムで覆われています。

前にも書きましたが、積水ハウスさんの場合、壁面の断熱材は工場で木枠の断熱材パネルに作られた状態で現場に搬入されます。木で出来た枠に断熱材が充填され、フィルムでパックされての搬入です。

窓などの開口部も含めて工場で組まれてきますので、現場での追加工はほとんど必要ないようです。エアコンなどの取り付けに必要な壁補強も、既にこのパネルの防湿フィルムの中に組まれています。

実際に現場で壁面に組まれたところを見ると、パネルとパネルの間は薄い金属性のモノサシも入らないほどぴっちりしています。スポンジ状のパッキンがパネルに付いていてお互いの隙間を埋めているのですが、それほど厚いパッキンではありません。せいぜい3mmくらいのものでしょう。それがピッタリ合うのですから、その精度に驚きます。

そして写真のとおり、室内側は全て断熱材パネルで覆われています。柱や筋交い(ブレース)の部分が室内側に露出する(内装の石膏ボードと接する)ということはありません。通常の軸組工法での充填断熱には見られない形です。

断熱材パネルが鉄骨フレームに接する部分の面積も最小限になるように加工されているようですし、外壁に面する部分の鉄骨梁の内側にも断熱材が施工されています。私が見る範囲では、いわゆる熱橋についても十分考慮されていると感じます。断熱材内側の熱容量を最小限に抑えるという意味でも合理的です。

この様子なら屋外側の通気層もきちんとした精度で確保されているように思います。熱伝導率の小さい外壁との組み合わせなら、良い断熱性能を確保できることでしょう。

外壁と断熱材の間には通気層があるから外壁の熱伝導率は断熱性と関係ないという意見もあるようですが、それは熱伝導だけを考えた場合の話であって、外壁内面と断熱材表面の輻射熱伝達を考慮に入れると熱貫流にはちゃんと外壁の熱伝導率も関係してくると思うんですよね。

断熱については諸説あるので機会があったらそれについても書いてみようかと思います。正直言って工学的に「???」な主張もあるような。

Img_0920

左の写真は小屋裏収納の様子です。面積は6畳相当あるのですが最高高さが140cm足らずなので、まあ、押し込み収納くらいの感じでしょうね。作業している方も、「作業しにくいですね~」と。(笑)

スキー板、釣竿、古い本、入れるものはそんなところでしょうか。

このあと、小屋裏収納の天井の上には25K100mmのロックウールが施工されます。でも、夏はとにかく暑いでしょう。

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家作り」カテゴリの記事

コメント

ほー。
わたくし、今どきの軽量鉄骨系住宅の断熱を誤解しておりました。てっきり【通常の木造軸組み+充填断熱】と同じかと思っていました。ottoさんちの仕様なら断熱・気密性能は相当高そうですね。もしかして銀色のフィルムは輻射を防ぐ効果もあったりするのでしょうか。大手メーカーならではの合理性を感じます。ちなみに断熱パネル内の断熱材は何でしょう?

どうも。図面によるとパネル内は普通のグラスウール10K(ア)100mmだそうです。ちなみに外周梁のところは24K(ア)50mmと書いてありました。その他、材質、厚さ、グレード違いで数種類の断熱材を使い分けるようです。勉強不足で理由は分かりませんが何か理由があるのでしょうね。うちは東京近郊の低地ということで油断したままで居ます。(笑)

地域によっては基礎外周もくるりと断熱材で覆われて、更に床下換気口も温度で自動開閉するようなものが付くような気がしました。

shaloさんのところは外張り断熱ですか?

うちは基礎以外は外張り断熱です。
基礎の断熱を外にするか内にするかは、かなり意見が分かれるようですけど、わたしとしては基礎は内が妥協点と思います。建築途中で、家中がスッポリ断熱材に覆われている姿が見れるそうです。
ここは我が家で最もこだわった部分なので、入居後が楽しみです。全館冷暖房を目指してるんですよ。ottoさんちよりも遥に南に住んでるので、どのくらい効能があるかは???なんですけどね(笑)。

実は今、本を買って両方の主張について勉強しています。お互いに色々なことを書いていて、かなり楽しく読んでいます。
ただ、もしも私が何も知らされないまま家の図面を書けと言われたら、少なくとも屋根については外張り断熱で図面を書いたでしょうね。そして当然、天井上にも断熱材を入れると思います。なぜ一般的な作り方では屋根を断熱しないのか、昔から疑問なんですよ。自分の家については求めるものが別の方向だったので最大公約数として現状の選択になっていますけれど。家が出来たら自分で断熱材を張っちゃおうかな。
ところで、屋根材の塗り替え時期が来たら、「ATSU9」(http://www.nippe-showbiz.com/eco/index5.html)という日本ペイントの遮熱塗料を試してみようかと思っています。仕事でメーカーの体感小屋に行った時、温度計のデータでも体感でも本当に効果があったというのがその理由です。

蛇足ですが、1F天井上にあるマット状のものはメーカーによると「吸音材」だそうです。

あ。「いい家」読まれたんですね。ご指摘の通り、論理の飛躍は多いとわたしも思います。でも、著者の家造りに対する姿勢は大いに評価すべきとも思います。最近は「いい家」を建ててヒドイ目に逢ったという本も出版されています。これほど槍玉にあげられる本も珍しいですよね(笑)。
わたしは断熱関係の本を5冊読みました。実際に住んでいる方の話も聞いたりした結果、外張り断熱に決めました。どうなるかは、お楽しみですねー。価格ほどのアリガタミがあるかどうか・・・。
遮熱塗料はガレージ基礎の断熱を検討しているときに、わたしも調べました。「断熱性」を求めようとすると、塗料は厚みが確保できない為に効果は期待できない。では「遮熱性」って?設計担当と議論を戦わせた結果『それなりに効果はあるだろうが、色の違い以上の効果が期待できるかどうかは???』という結論に至りました。遮熱塗料とはいえ、白っぽい色以外は効果はなさそうだということです。将来ご検討されるときは『色』にご注意くださいね。

断熱に関しては、本当に色々検討しました。『温暖な気候の中で断熱性を高める(同時に気密性も高まる)ということは、空調を強めることとイコールなのか?』ということが大きな関心事の一つです。この辺は住んでみないと分からないことなので、賭けかもしれません。気候の良い時期には窓開け換気が楽しめる家になってくれることを願っています。

こんばんは。件の本、読んだといっても一昨日です。(笑)
とはいえ、家の検討を始めた段階で外張り断熱のことは知っていて、2重通気でないにしても断熱の面からは納得の行く構造だとは思っていました。設計事務所と打ち合わせををしているときにも色々考えていたのですが、好みの外壁がことごとく重い素材だったので最終的には不採用になりました。べつに外観ばかりを重視したわけではありませんけど。
shaloさんのところはこだわりの工法ですからその効果のほどが楽しみですね。レポートお待ちしております。
遮熱塗料の件、おっしゃるとおり、熱伝導を小さくする断熱ではありませんね。熱線反射というのが正確でしょうか。
ご指摘のとおり色による差は確かにあります。ただ、例え黒でも普通の塗料と比較すると熱貫流には大きな差が出ますよ。メーカーの施設で屋外放置の鉄板の温度が10℃前後違うのを見てきました。
人間が感じる色というのは可視光の反射率の分布によって決まりますが、熱伝達の大きさは(特に有機物の場合)主として赤外領域の吸収(反射)率で決まります。赤外線は目に見えませんから、この部分を反射しようが吸収しようが、目で見て色としては区別がつかないわけです。逆に言うと、目で見た色は、熱伝達の大きさには必ずしも直結しないということです。
ただ、実際の素材では光の波長による吸収率の差をそんなにシャープに作り出せるわけではありませんし、可視光領域の光も物体に吸収されないわけではありませんから、やはり黒っぽい塗料は不利です。
まあ先のことですからゆっくり考えます。(笑)

おそらくshaloさんのおっしゃっている「いい家」でひどい目に遭った方の話は御本人のBlogで読んだことがあります。あれをやられたら外張り断熱でも充填断熱でも同じかと。その後、建て主が弁護団を得て提訴したようですね。
確か問題は2Fでしたっけ?どんな工法でも内装を伝って下階まで影響しますよね。断熱工法云々とは別次元の問題のような気がします。
ただ、「いい家」の著者は立派だと思います。少なくとも表面上の損得勘定ではなくて、自分の信念に基づいて行動しているようで、たいしたものだと。うがった見方をすれば色々言えるでしょうけれど。

ふむふむ。赤外線の話は納得です。10℃となると、違いは大きいですね!うちの屋根は黒に近いグレーなので、塗り替えのときは試してみます。
しかしottoさんはホント理論派ですねー。心強いです。また教えてくださいね。

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    主張には一貫性があり差し替えられた最新のデータに対しても矛盾がない。最高のリターンを得るためにベストな方法ではなく、普通の人が十分な(とは言えかなり良い)リターンを得られる可能性が高い方法を明確に示している点で個人投資家にとって最良の書ではないだろうか。株式、債券の範囲で投資を始めるなら、まずは歴史に裏打ちされたこの本を読んでからにすべき。投資窓口で投資商品を販売する方々も、この本を読んでから個人投資家に接すれば無駄な問答が無くなるように思う。まあ、そんなことをしたら彼らが自己矛盾に苦しむことになるが。 (★★★★★)

  • フレデリック ドラヴィエ: 目でみる筋力トレーニングの解剖学―ひと目でわかる強化部位と筋名

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  • 荒川 裕志: プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典

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    筋肉が骨格と共に各々単独で図解されており筋肉の骨格への付着(起始,停止)位置が分かりやすい。図を見ればどのような動作が筋肉に刺激を与えるのかが想像できる。同シリーズのトレーニング編にも興味が湧いた。 (★★★★)

  • ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)

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