日産ディーラーのこと
街の中古車屋さんで買ったZ32に社外ホイールを付けたら高速道路を走っているときに振動が出てしまって困っていたときのことです。ノーマルの時には全く出なかった振動なのでホイールとタイヤが原因なのは分かっていたのですが、タイヤの販売店と交渉してそれらを新品交換しても直りません。バランスを何度取っても同じです。
残る可能性としてプロペラシャフトのセンターマウントを交換してもらおうと思って日産ディーラーに行きました。
ホイールもサスペンションもマフラーもいじっていたので、「純正外だから対応しません」的なことを言われるかと思っていたのですが・・・。
「もちろん交換作業をすることは構いませんが、本当の原因が何なのか調べた方が良いと思いますので測定器を積んで実走してみませんか?」
「え゛。そんなの、すごいじゃありませんか。」(笑)
断る理由などありません。二つ返事で、ディーラーのメカさんを乗せて同乗確認する日を約束させてもらいました。
同乗確認の当日、車に積まれたのはFFT(Fast Fourier Transform)分析機でした。色々な周波数を含む振動の中から周波数ごとの強度を分離して測定する機械です。振動を語るなら必須の機械です。
車に周期的な振動を発生させるのはたいていが回転部分です。これが車のどこかの共振周波数と一致すると大きな振動として人間に感じられるようになります。FFT分析機によって振動のエネルギーの大きい周波数を特定することによって、それがどの回転部分のアンバランスに拠るものなのかを絞り込めるのです。
たとえば、タイヤ径630mm(225/50R16相当)の車の場合、100km/hで走ったときに14Hzに振動のピークがあればそれはタイヤの回転に起因するものだと分かりますし、その3倍(デフ減速比)くらいの周波数に振動のピークがあればクラッチ~プロペラシャフトあたりに原因があるということになります。
メカさんは助手席の足元のフロアにピックアップを載せてラップトップの表示器を眺めます。高速道路でお互いに振動の体感を確認し、測定値も確認しました。
結果、そのピーク周波数から原因はタイヤということになりました。
この結果をもとにディーラーさんと相談させていただき、よくメンテナンスされたバランサーによるタイヤバランスの再調整と、念のためにプロペラシャフトのセンターマウントの交換を行いました。
作業後、同じようにメカさん同乗で振動を測定すると、振動が7dB減少していることが分かりました。感覚的にも、全く感じないということはありませんが、明らかに振動が減少しているのが分かります。
結局、この件は私もメカさんも大満足、という形で終わったのですが、正直言ってこの時はディーラーさんでFFTまで手配されるのに、かなり驚かされました。やる気ありますよね~。
たまたまそのフロントマンなりメカさんなりが探究心豊かな方だったのかも知れませんが、ディーラーさんに対する私のイメージはこの一件でものすごく良くなってしまいました。
でも、最近はそのくらい当たり前なんでしょうか?
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実はディーラーさんに行く前にタイヤの重量バランスが原因なのかどうか調べるためにホイールにハンダで「アンバランサー」を取り付けて走ってみたのですが、振動は増えも減りもしませんでした。おそらく、本当の原因はタイヤ+ホイールの真円度(ユニフォーミティー)だったのでは?と思います・・・。
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コメント
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ほー。日産のディーラーは凄いですね。そのディーラーで買った車じゃないというのに。ottoさんのおっしゃるようにフロントマン・メカニックの探究心も重要かもしれませんね。
わたしは以前デュオでエンジン不調の点検をしてもらったのですが、全く原因がつかめず、町の修理工場で「デスビシャフトが磨耗してる」と一発で判明した経験があり、ディーラーメカニックに対する信頼度が急降下しました。今どきのクルマは電子制御化が進んでいるせいで、コンピューター診断に頼りすぎ、機械的な部分のチェックがおろそかになってしまているんですかね。骨のある整備士は減っているのかな・・・。
その日産のメカニックなら、きっと一発で原因を突き止めてくれたでしょうね。
投稿: shalo | 2006年7月17日 (月) 23時24分
そうなんですよ。そこで買ったのではないのに、ということでこちらも驚いたわけです。良いメカさんとフロントマンです。私が新車を買えないのでちょっと申し訳ないのですが。
「デスビシャフト」は若い方だと知らないかも知れませんね。最近のエンジンには存在しないものですから。日産だとL型が最後でしょうか。町の修理工場の親父さんならバッチリでしょう。(笑)
でも、「ポイント」になると私は1台しか触ったことがありません。同じく、キャブレター(ストロンバーグ型)というのもその車が最後でした。
電子制御はやっかいですよね。メカ的なところをチェックしようとしても、その状態で本来どう動作しているべきなのかが分からないとチェックのしようがなくて。結局、整備要領書を手に入れるか車屋さんに出してしまうかです。最近はそもそもエンジン周辺に手の入るスペースもない車が多いので、ほとんどあきらめてます。
ちょっと関係ありませんが、HR31に乗っていたときに自分でROMを書き換えて遊んでいたらピストンが溶けたことがあります。これも電子制御の怖さ?・・・ではありませんね。(泣)
投稿: otto | 2006年7月19日 (水) 12時21分