« ポケットナイフのこと | トップページ | 書類手続き »

2006年6月11日 (日)

ナイフ作りのこと

Img_0210ナイフといえば、中学のころは父親と一緒に自分でナイフを作っていました。左の写真はそのころ作ったナイフの一つです。

まずは銀座の木屋に行って材料を仕入れ、自分で描いた型紙に沿って鋼の板を切り、刃の部分を薄く削って作ります。刃の部分はベルトサンダーで削っても良いのですが、あまり熱を加えると焼入れのときに曲がってしまうので、この一本は全部手やすりで仕上げました。鋼は440Cと呼ばれるもので、錆に強くて一番一般的な材料です。

焼入れは所定の温度に必要な時間だけ保ってから油に漬けて行います。冷やしきってはいけなのですが、冷め切らないうちに引き上げてもいけません。油から出る煙の状態を見て適当に引き上げます。(会社にある電気炉の耐火煉瓦に跡が残ってしまいました)

ヒルト(つか)は真鍮をロウ付けして作り、同じくやすりで仕上げます。黒檀のハンドルを付けて一緒に仕上げます。

最後に全体を磨いて仕上げ、刃を付けます。きちんと研げれば、産毛が剃れるというのは自作の刃物でも一緒です。

シースも牛革を縫って自分で作りました。仕上げに蜜蝋を染み込ませると硬くて丈夫なシースに仕上がります。

この他にもD2(SKD11)で作ったものがあったのですが、ひとにプレゼントして今は手元にありません。父親はATS-34の刃先にステライトという耐摩耗性の高いコバルト系の合金を盛ったりして遊んでいました。

この記事を書きながら、しばらくぶりにまた作ってみようかと思っている今日この頃です。

« ポケットナイフのこと | トップページ | 書類手続き »

趣味」カテゴリの記事

コメント

自分も車の板ばね、サスペンション、ベアリング、鑢などでいろいろな刃物を独学で作ってきました。しかしこの前弟に、D2(3x30x205)を貰ったのですが、板ばねなんかの材料はたくさん持っていたので焼入れをして折って組織を調べたり耐久テストをしてみたりと試行錯誤できたのですがD2はまったく未知の世界で困っています。もしよければD2の焼入れの方法などを教えていただけませんか。よろしくお願いします。

はじめまして。板バネで刃物とは、まるでランドールとかラブレスのようですね。(笑)熱処理条件が書かれた本は実家に置いてきてしまったのであまり詳しくは書けないのですが(汗)、D2はJISでSKD11が相当品ということになっていますので、SKD11での条件が日本高周波鋼業(株)さんのHP(http://www.koshuha.co.jp/kd11s.html)に出ていました。この材料は肉厚の金型用に作られただけあって空冷で焼きが入るのが特徴でしょうか。私は鋼材の加熱を温度設定のできる電気炉でやってしまったのですが、火色でもある程度は温度が分かるそうです。焼き戻し後にサブゼロ処理を加えると更に特性が良くなる鋼材もありますので、色々試してみると楽しいかもしれませんね。

 伝統技術で世界最強の日本刀のナノテクノロジーを抽出し先端技術を駆使して日立金属がSLD-MAGICという金型用鋼を開発した。これは韓国製鉄が出来ない優秀なハイテン(高張力鋼板)を切り裂いたり、曲げたりする金型に応用され自動車などが製造されている。こんなことが韓国では出来ないのは切れ味抜群の日本刀のものづくりには日本のオリジナル技術がいっぱい詰まっているから。

私も日立派です。

「ダーク・グリーンのマイカルタ製握りには指が吸いつくような見事な
カーブが丹念に磨きだされていた。
石のようにかたい乾燥芋は、
日立ATS34鋼の刃のしたでバターのようになめらかに削げた。」
五木寛之著「風の王国」新潮社より

修理固成さん、コメントありがとうございます。ご返事が異常に遅くなり恐縮です。
鋼材も日々進化しているのですね。日立の「SLD-MAGIC」、全然知りませんでした。通信販売でも手に入るのでしょうか。いつかチャレンジしてみたいものだと思います。

前田鐵鋼さん、こんばんは。ご返事があまりにも遅くなり申し訳ございません。
慣れないものでナイフ一本作るにも、けっこう時間がかかるものですが、今度作るときには、何か最新の鋼材でも使って面白いものを作りたいと思います。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ナイフ作りのこと:

« ポケットナイフのこと | トップページ | 書類手続き »

2022年2月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28          

ottoの本棚

  • 徳永幾男: セイコーダイバーズウオッチ進化論 (ワールドムック 1078)

    徳永幾男: セイコーダイバーズウオッチ進化論 (ワールドムック 1078)
    セイコー社が普通に出しているであろう資料を継ぎ接ぎしただけの本。内容に伝説を求めてもパッキンについてもダイバーからの手紙についても同じことを繰り返し書くばかりで何の面白味もない。いかにネタが無いのかを自分で白状している感じ。 技術的な意味での興味からも全く期待はずれ。PTFEの方がガス(He)透過率が低いというデータを載せながら、何故PTFEではない材料を採用したのかの説明もない。(所要最小面圧が理由だろうが) そして、面白くない一番の理由は他社や他社製品との具体的、定量的な比較がないこと。他製品に対する優位性があってこその「進化」だろうに。件のダイバーの手紙に「どれもこれもダメ」と書いてあったという問題提起の話だけで、実際のHe飽和潜水でセイコー製がその問題を解決したのかどうかの裏付けがない。 著者は実績ある時計専門の機械屋さんのようだから出版に当たって名前だけ使われたのだろうと思わずに居られない。 最近で最も損したと思った本に認定。 (★)

  • ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)

    ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)
    10年くらい前に買った本書を再読。紹介されているトレーニング種目は多く、運動競技別のメニューも紹介されている。また、反復可能回数を基準にした重量設定の方法も簡単に紹介されているが、「漸進性の原理」にはほんの一言二言触れているだけで、トレーニングが進んだとき、どのようにウェイトの重量を増やせば良いのかについては殆ど記載がない。唯一、「導入段階のトレーニングプログラム例」の中に「最終セットで15回出来るようになったら2.5kg増す」というような記載があるのみ。確かに重量設定の方法を逆読みすれば目的とする効果が得られる反復回数となるように重量を増やして行くべきということは分からなくもないが一般には分かりにくいだろう。明らかに初心者向けの書籍なのに、その点に関するガイドが不足していることに疑問を感じる。厳密に言うと用い方が違うとしても、8×3法なり5×5法なりのような、分かりやすいウェイト重量調整の判断基準が欲しい。ウェイトを増やして行くこと自体が目的にかなり近いことであって、他のことはその手段なのだから、ウェイトの増やし方には章をひとつ割いても良いくらいだと思うので。 (★★)

  • クリス アセート: 究極の筋肉を造るためのボディビルハンドブック

    クリス アセート: 究極の筋肉を造るためのボディビルハンドブック
    内容は運動強度と栄養摂取に関する原則に特化しており、個別の運動についての詳細は含まれていないので注意。挿絵以外に図表は含まれない。 (★★)

  • マイケル ルイス: フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

    マイケル ルイス: フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち
    読書中

  • バートン・マルキール: ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理

    バートン・マルキール: ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
    主張には一貫性があり差し替えられた最新のデータに対しても矛盾がない。最高のリターンを得るためにベストな方法ではなく、普通の人が十分な(とは言えかなり良い)リターンを得られる可能性が高い方法を明確に示している点で個人投資家にとって最良の書ではないだろうか。株式、債券の範囲で投資を始めるなら、まずは歴史に裏打ちされたこの本を読んでからにすべき。投資窓口で投資商品を販売する方々も、この本を読んでから個人投資家に接すれば無駄な問答が無くなるように思う。まあ、そんなことをしたら彼らが自己矛盾に苦しむことになるが。 (★★★★★)

  • フレデリック ドラヴィエ: 目でみる筋力トレーニングの解剖学―ひと目でわかる強化部位と筋名

    フレデリック ドラヴィエ: 目でみる筋力トレーニングの解剖学―ひと目でわかる強化部位と筋名
    主な筋肉については起始と停止位置がその筋肉単独の状態で図解されているが、せっかくなら運動状態の図についても、その運動が主題にする筋肉だけを単独で図示してほしかった。その方が、その筋肉がどのような方向に力を発揮するのか、どのような方向に動作すれば筋肉に効率よく刺激を与えられるのかが分かりやすくなるように思う。筋肉の起始と停止位置が分からない図であれば、なにも表皮を剥いで筋肉を露出させた状態で運動の様子を描く必要がないのでは。 (★)

  • 荒川 裕志: プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典

    荒川 裕志: プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典
    筋肉が骨格と共に各々単独で図解されており筋肉の骨格への付着(起始,停止)位置が分かりやすい。図を見ればどのような動作が筋肉に刺激を与えるのかが想像できる。同シリーズのトレーニング編にも興味が湧いた。 (★★★★)

  • ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)

    ウイダー: ウイダー・トレーニング・バイブル (ウイダー・トータル・フィットネス・シリーズ)
    (★★★)

  • 世界文化社: Octane日本版 Vol.12 (BIGMANスペシャル)

    世界文化社: Octane日本版 Vol.12 (BIGMANスペシャル)
    素敵なグラビアを堪能。 (★★★)

  • 世界文化社: オクタン日本版特別編集 VANTAGE (BIGMANスペシャル)

    世界文化社: オクタン日本版特別編集 VANTAGE (BIGMANスペシャル)

Shops

  • Ride Out KAWASAKI 専門店
    友人である長谷川氏のバイクショップ。 杉並区善福寺一丁目青梅街道沿い。 KAWASAKI中心に取り扱い。

家作りリンク

家作りガイド

  • 住まいの水先案内人
    家作りに関する技術的な解説、資料、コツ、そして注意点が盛りだくさんです。非常に多くの内容が含まれていますが、それらが分かりやすく整理されています。このサイトを隅から隅まで読んで家作りに着手すれば余程のことがない限り致命的な問題が発生するようなことは避けられるのではないでしょうか。特定の工法、業者に傾いた解説も見当たらず、非常に良いサイトだと思います。
  • 建築家による1000問答の建築よろず相談
    基本的には建築に関係する相談のサイトです。建築士等によるQ&Aが充実しています。運営主体の性質上、建築士による建築計画・監理を強く推し、そのメリットを強調しています。

トレーニング

  • AthleteBody.jp
    このサイトのおかげで腹筋を割ることができました。無料サイトであるにも関わらず「ダイエットと筋肉トレーニングにおいて本当に必要なこと」が強調され、非常に有益な情報が提供されています。 夏前になると「6パックを手に入れる」的な特集を繰り返し組んで、色々な運動を羅列しただけの雑誌を買うのがバカバカしくなります。 多くの雑誌では、運動の優先度、そして何より時間軸でのトレーニングの進め方が載っていません。 「10回繰り返せるくらいの負荷で3~5セット行う」という書き方をしていることが多いのですが、「じゃあ、今日50kgのウェイトで10回3セット出来たとして、次回もその次も同じようにすれば良いの?」という疑問には答えてくれないことが殆どです。 読者がそう言った疑問を持たなければ毎回同じ負荷で同じことを繰り返し、つまり体は変わらない、ということになるわけで、記事として非常に中途半端であり不誠実です。 全員が6パックになってしまうと雑誌が売れなくなるので大事なところを端折っているのかも知れませんが。 このサイトでは、「行うべき基本」はシンプルで明確なので実行も容易。非常にお勧めです。
無料ブログはココログ