ナイフ作りのこと
ナイフといえば、中学のころは父親と一緒に自分でナイフを作っていました。左の写真はそのころ作ったナイフの一つです。
まずは銀座の木屋に行って材料を仕入れ、自分で描いた型紙に沿って鋼の板を切り、刃の部分を薄く削って作ります。刃の部分はベルトサンダーで削っても良いのですが、あまり熱を加えると焼入れのときに曲がってしまうので、この一本は全部手やすりで仕上げました。鋼は440Cと呼ばれるもので、錆に強くて一番一般的な材料です。
焼入れは所定の温度に必要な時間だけ保ってから油に漬けて行います。冷やしきってはいけなのですが、冷め切らないうちに引き上げてもいけません。油から出る煙の状態を見て適当に引き上げます。(会社にある電気炉の耐火煉瓦に跡が残ってしまいました)
ヒルト(つか)は真鍮をロウ付けして作り、同じくやすりで仕上げます。黒檀のハンドルを付けて一緒に仕上げます。
最後に全体を磨いて仕上げ、刃を付けます。きちんと研げれば、産毛が剃れるというのは自作の刃物でも一緒です。
シースも牛革を縫って自分で作りました。仕上げに蜜蝋を染み込ませると硬くて丈夫なシースに仕上がります。
この他にもD2(SKD11)で作ったものがあったのですが、ひとにプレゼントして今は手元にありません。父親はATS-34の刃先にステライトという耐摩耗性の高いコバルト系の合金を盛ったりして遊んでいました。
この記事を書きながら、しばらくぶりにまた作ってみようかと思っている今日この頃です。
« ポケットナイフのこと | トップページ | 書類手続き »
「趣味」カテゴリの記事
- 久しぶりの新作(2006.06.12)
- ナイフ作りのこと(2006.06.11)
- ポケットナイフのこと(2006.06.11)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
自分も車の板ばね、サスペンション、ベアリング、鑢などでいろいろな刃物を独学で作ってきました。しかしこの前弟に、D2(3x30x205)を貰ったのですが、板ばねなんかの材料はたくさん持っていたので焼入れをして折って組織を調べたり耐久テストをしてみたりと試行錯誤できたのですがD2はまったく未知の世界で困っています。もしよければD2の焼入れの方法などを教えていただけませんか。よろしくお願いします。
投稿: G1539322 | 2006年6月18日 (日) 17時34分
はじめまして。板バネで刃物とは、まるでランドールとかラブレスのようですね。(笑)熱処理条件が書かれた本は実家に置いてきてしまったのであまり詳しくは書けないのですが(汗)、D2はJISでSKD11が相当品ということになっていますので、SKD11での条件が日本高周波鋼業(株)さんのHP(http://www.koshuha.co.jp/kd11s.html)に出ていました。この材料は肉厚の金型用に作られただけあって空冷で焼きが入るのが特徴でしょうか。私は鋼材の加熱を温度設定のできる電気炉でやってしまったのですが、火色でもある程度は温度が分かるそうです。焼き戻し後にサブゼロ処理を加えると更に特性が良くなる鋼材もありますので、色々試してみると楽しいかもしれませんね。
投稿: otto | 2006年6月18日 (日) 20時34分
伝統技術で世界最強の日本刀のナノテクノロジーを抽出し先端技術を駆使して日立金属がSLD-MAGICという金型用鋼を開発した。これは韓国製鉄が出来ない優秀なハイテン(高張力鋼板)を切り裂いたり、曲げたりする金型に応用され自動車などが製造されている。こんなことが韓国では出来ないのは切れ味抜群の日本刀のものづくりには日本のオリジナル技術がいっぱい詰まっているから。
投稿: 修理固成 | 2008年4月10日 (木) 20時21分
私も日立派です。
「ダーク・グリーンのマイカルタ製握りには指が吸いつくような見事な
カーブが丹念に磨きだされていた。
石のようにかたい乾燥芋は、
日立ATS34鋼の刃のしたでバターのようになめらかに削げた。」
五木寛之著「風の王国」新潮社より
投稿: 前田鐵鋼 | 2008年4月15日 (火) 21時28分
修理固成さん、コメントありがとうございます。ご返事が異常に遅くなり恐縮です。
鋼材も日々進化しているのですね。日立の「SLD-MAGIC」、全然知りませんでした。通信販売でも手に入るのでしょうか。いつかチャレンジしてみたいものだと思います。
投稿: otto | 2008年6月 1日 (日) 00時15分
前田鐵鋼さん、こんばんは。ご返事があまりにも遅くなり申し訳ございません。
慣れないものでナイフ一本作るにも、けっこう時間がかかるものですが、今度作るときには、何か最新の鋼材でも使って面白いものを作りたいと思います。
投稿: otto | 2008年6月 1日 (日) 00時21分