E32型750iLの動力性能
E32型の750iLは1,800kgの車両重量に300psのエンジンです。馬力荷重はちょうど6kg/psで0-400mの加速は15秒半ばというレベルです。今は14秒台の車など珍しくありませんから、特に速いうこともなく、不満を感じることもないというレベルです。
それでも1989年のZ32登場以降、国産車の最高出力が280psにとどまっていた(※)おかげで、私の750iLの加速性能は未だに最新のセルシオ(UCF31)や、シーマ(F50)とほぼ同等です。
ただ、可変バルブタイミングを持たないこのエンジンは低速トルクが薄く、ATが4速であることもあって出だしの加速はかなり鈍く感じます。
一方、そのデビュー当時のことを考えてみると、一般のセダンの中ではやはり頭抜けていただろうと思います。国産ではY30型グロリア(VG30ET/230ps)や、初代シーマ(VG30DET/255ps)の時代です。
当時学生だった私が乗っていたHR30型のスカイラインは、L20型エンジンにタービン交換と水冷インタークーラー、NAカムに水温補正増量などを加えても、200馬力そこそこでしたし。(学校の研究室から加速度計を無断で借りて測りました)
しかし、加速性能だけは未だに現代の車と大差ないとしても、実は曲がるとその差は歴然です。タイヤが225/60R15という今では考えられないサイズであることもあってか、とにかくアンダーが強いと感じます。ブレーキを残していったんは姿勢を作って踏み込んでいっても、頑強なアンダーステアがすぐに顔を出します。バネはセダンとしては硬い部類なので、もう少し機敏に走っても良いような気がします。(腕の問題だと言われると何も言えませんが)
また、高速での直進性も今のレベルと比較するとかなり難があります。ロングホイールベースだから直進性は良いだろうと思っていたのですが、ハンドルの落ち着きにしてもワンダリング耐性にしても、はっきり言って妻のカローラフィールダーにかないません。私がこの車に乗る前に乗っていたZ32とは、較べてはいけません。
ロングホイールベースにあれだけ大きなキャスターアングルをとっていてなぜ、と思うのですが、やはり(前)ストラット,(後)セミトレーリングアームにリサーキュレーティングボール式(ボールナット式)のステアリングというその構造自体が現代の要求レベルにマッチしていないのでしょうか。
(※) どうやって280ps規制が出来たのか分かりませんが、自動車業界にとっては本当に迷走の15年だっただろうと思います。
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コメント
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こんばんは。そして、初めまして。
私もセルシオからE38への乗り換えを検討していまして、本ブログをみつけました。
しっかし、7シリーズでもE32だと、直進安定性とかハンドリングとか、そんなレベルなんですね!この年式でも、アウトバーンがある国の、しかもBMWのフラグシップモデルである7シリーズともあれば、それこそセルシオ シーマあたりよりしっかりしてるんじゃないか?なんて想像していました。同じ年代だとベンツではW126あたりがかぶりますし。
投稿: haruki | 2013年3月20日 (水) 00時50分
harukiさん初めまして。
セルシオからE38への乗換えを検討されているとのこと。セルシオ(F10,F20)、そしてLSと較べるとガサツ(笑)というのが私の印象です。
一方、E32が私の手元に来たのは9年落ちの状態でしたから新車の時にどうだったのかは分かりません。とは言え、各社の競争の中、お互いの競合車をベンチマークとしてそれを越えるべく開発屋さんたちが残業に残業を重ねて(?)作るのでしょうから、シリーズのコンセプト自体を変えてしまわない限り、特に定量化しやすい部分の「精緻な性能」について同価格クラスの車両同士を比べた場合、旧型が新型に敵うことは無いのかなと思っています。
一方で、「質感」のような定量化しにくい部分については新旧での評価の逆転があると思います。卑近なといころで、内装の質についてはE32の方がE38よりも明らかに上でした・・・。
一方、中古車の売価で見ると280psの国産車と500psクラスの輸入車が同じ値段と言うことはよくあることで、「ハイエンド近くの絶対的な動力性能」のC/Pについては輸入車有利・・・かと思っています。
故障率とのトレードオフもあり、何れにしても難しいですね。(笑)
投稿: otto | 2013年3月24日 (日) 00時17分
なるほど、「同価格クラスの車両同士を比べた場合、旧型が新型に敵うことは無い」。確かに言われてみればそうですね。一方で、数値化出来ない部分の逆転は起きうると。
国産車なんかまさに、その例がピッタリで、日産で言えば昔Y32セドリックに乗っていたことがありまして、最近フーガを運転したのですが、性能はもちろんフーガでしょうが、拍子抜けしてしまった部分がありました。
それはパーキングブレーキの解除方法です。普通、このクラスのパーキングブレーキってブレーキを掛けるときは、左足でペダルを踏み込んで、解除には専用のレバーやボタンで手で操作して解除するのもだとばかり思ってて、レバーがどこなのかキョロキョロ探したのですが、もういちど足で踏み込んで解除するんだと聞いて!!!えーーっでした。このクラスのセダンに、その方式を採用すると判断した日産という企業の品格まで疑います。理解に苦しみます。こういうところって直接マーケティングには影響しない、でもPブレーキの解除を足で行うタイプだとコストがマイナス???円ダウン!みたいな決定があったんでしょうか(笑)
思うに自動車技術って、90年代には完成の域に達していて、成熟しているんだとおもいます。あとはコストの掛け方とか、設計思想の部分、そしてあとはデザインセンスといった感性の部分に左右されるのかなと思います。極論ですが。
ですから、バブルの頃の日本企業の時価総額や競争力がNo.1で、Japan as No.1などと呼ばれ、企業体力があった時代に生まれた日本車と、今の新興国に脅かされ、コストコストでジリ貧のメーカーでは、いくら技術が進歩しようと、バブル時代のクルマがよく見えることがあることがあるのだと思います。質感とか高級感では。そして その部分て高級車にとっては非常に重要な要素なんですが悲しいですね。
投稿: haruki | 2013年3月24日 (日) 22時54分