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2006年5月 7日 (日)

積水ハウスの家について(2)

シリーズ構成に引き続き、家の各部の構造です。

(1)軽量鉄骨躯体

メーカーが「ユニバーサルフレームシステム」と呼ぶ、建物の基本となる耐力壁フレームは、3.2mm厚のC型鋼を4辺に用いて、その4隅からX字型に張ったブレースをターンバックルで引くという、軽量鉄骨プレハブらしいオーソドックスな構造です。

このフレームのC型鋼が背中合わせに組まれて柱を構成します。

カタログなどには、「力学的に前後左右どの方向からの力にも対抗できる構造になっており、その強度は檜無垢12cm角の柱を大きく上回ります」と書いてありますが、本来、座屈強度については、ヘーベルハウスさんのフレームのように、閉断面の角鋼を用いた方が有利でしょう。

フレームは、少なくとも幅0.5m,1.0m,1.5m、という種類が用意されており、プランに応じて組み合わせます。フレーム寸法の規格が0.5m単位ですので、建物の外形寸法は0.5m単位でしか変えることができません。

(耐力壁と関係のない室内の間仕切りは自由な寸法で設計可能。)

そして、梁を飛ばすスパンに応じて、建物の内部に80mm角の独立柱を使います。

梁は同じく軽量鉄骨で高さ200mmのH型鋼です。梁のほとんどの対角には、剛性を増すためのブレースが組まれます。へーベルハウスさんの場合はこの部分にブレースがなく、敷き詰めたへーベル板(ALC)どうしを接着した上で梁に固定して剛床としているようです。

ただ、躯体の強度を考えるうえで、それを構成する個々の部材の強度を比較してもあまり意味はないと思います。強度の低い部材なら量を使えば良いことだと思います。

極端に大きな開口(窓や吹き抜け)を求めるのなら耐力壁が邪魔になることもあるでしょうけれど、一般の家ではある程度壁もなければ収納もできません。計算で強度が保証されているのなら、部材の強度にはあまり神経質にならなくても、と思います。

いずれにしても積水ハウスさんの躯体に特別な制震構造は含まれておらず、このあたりの仕様は、後発の他のメーカーさんに比べると、見劣りのする部分です。

大きな地震に遭った場合にブレースが伸びてエネルギーを吸収するところまでは良いのですが、いったん伸びてしまったブレースは自力で元に戻ることはないので、締めなおす必要があります。

下の写真は積水ハウスさんの総合展示場である「住まいの夢工場」に展示されている、阪神淡路大震災の被災地に建っていた住宅の耐力壁ですが、地震力によってブレースが伸びているのが分かります。

Dsc_2692_3 ヘーベルハウスさんを初めとするいくつかのメーカーさんの制震デバイスが、その内部の一部の部材の塑性変形でエネルギーを吸収し、後処理を必要としない(らしい)のと比較すると、設計の古さを感じます。

また、セラミック外壁では建物外側から外壁を外してブレースの締め直し作業を行うことができるのですが、ダインコンクリート外壁の場合は外壁取付金具の形状が異なるため、建物外側からの外壁取り外しができません。したがって、もしもブレースが伸びてしまった場合には、耐力壁部分の内装を取り外すという大掛かりな補修作業が必要になってしまいます。

(2)外壁

メーカーが「ダインコンクリート」と呼ぶ軽量発泡コンクリートで出来ています。ALCで有名なへーベル板よりも発泡度が低いので、強度に優れ、透水性が低いそうです。ALCの防水性が表面の塗装に頼るのに対し、この素材では、素材自体に防水性が期待できるようです。

外壁は鉄骨躯体に専用の金具で取り付けられます。外壁と鉄骨躯体は、ある程度自由に変位できるようになっていて、地震で躯体が変形しても、その力で外壁にヒビが入ることがないそうです。

Dsc_2712一般建築では、ALCは躯体にビス止めされます。このため、躯体に一定上の変形が生じると、弾性の小さなALCにはヒビが入ってしまいます。そういう意味で、積水ハウスさんのこの外壁の取り付け方法は非常に好感が持てます。

ヘーベルハウスさんのALC外壁も自由な変位を許容するように取り付けられていますが、もう少し簡単な構造で取り付けられるようです。重量の差がその理由でしょうか。

一方、このような取り付け方法ですから、積水ハウスさんの建物では、外壁の強度は建物全体の強度には直接関係ありません。ダインコンクリートはセラミック系の外壁よりも重いので、躯体の強度に対しては、むしろ、悪い条件になります。

(ダインの場合仕様書には「重い壁」と書かれ、建物の強度計算も社内で行うのでははなく外部に出すそうです。)

Jg_2外壁表面の塗装は「ジュエルグレイン塗装」というものを選びました。ベースのソリッドカラーの上に、他の何色かの細かい飛沫塗装を加えることで、天然石のような風合いを出そうとしたものです。

塗装の材質は、カタログによるとシリコン系樹脂塗料のようです。耐候性で言えばセラミック系の外壁に使われているフッ素樹脂系が最良だと思うのですが、もしかしたら下地への追従性などの都合で柔軟性に欠けるフッ素樹脂系の塗料は使いにくいのかも知れません。

ところで、このダインコンクリートの外壁については、一時期、インターネット上の掲示板で、そのひび割れが話題になっていました。その後、同じようなケースがあったのかどうかは分かりませんが、心配にはなります。そこで、打ち合わせのときに積水ハウスさんにそのことを問い合わせてみました。すると、時期については聞き忘れましたが「現在では補強のためにガラス繊維が配合されている」とのこと。その場ですぐに回答があったところをみると、社内で有名な話だったのかもしれません。展示場にあった外壁のサンプルを見てみると、確かに繊維が混ざっているのが分かりました。おそらく、今は大丈夫なのでしょう・・・。

だいぶ長くなってしまいました。基礎その他についてはまた次の記事にします。

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